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政治的思考 の商品レビュー

3.9

20件のお客様レビュー

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2023/09/28

杉田敦『政治的思考』岩波新書 読了。八つのキーワードを元に政治的に考えることについて議論していく。多様な価値観を前提に物事を調整していくこと。絶対的な正否や善悪などなく、多面的で相対的であること。「私たち」が泥臭く考え抜き、手探りで行動することが、今をよりよくする道筋なのだろう。

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2023/07/30

792 政治の向き合い方へのスタンスって学校で習えないけど重要なことだと思った。社会で生きていくために大事なことはほとんど学校で教えてくれないことだけどね基本。化粧の仕方とか人との付き合い方とかもそうだけど。政治っていうのは社会の最大公約数の妥協点を探ることで個人の理想を追求す...

792 政治の向き合い方へのスタンスって学校で習えないけど重要なことだと思った。社会で生きていくために大事なことはほとんど学校で教えてくれないことだけどね基本。化粧の仕方とか人との付き合い方とかもそうだけど。政治っていうのは社会の最大公約数の妥協点を探ることで個人の理想を追求するものではないという事が書いてあった。政治というものにはある種の押し付けがましさ不愉快さが付きまとうもの。過度の期待は政治への絶望に繋がり、政治そのものへの興味を失うから気をつけた方がいいらしい。 杉田 敦(すぎた あつし、1959年4月30日 - )は日本の政治学者。 法政大学教授。 専攻は、政治理論、政治思想史。 群馬県伊勢崎市生まれ、東京育ち。 みんなで決めよう「原発」国民投票の代表を務める。 [略歴] 筑波大学附属駒場中学校・高等学校卒業 1982年 東京大学法学部卒業 1982年 東京大学法学部助手 1986年 新潟大学法学部助教授 1993年 法政大学法学部政治学科助教授 1996年 法政大学法学部政治学科教授 2003年 - 2007年 放送大学教養学部客員教授 [関係者] 制度的な指導教官は福田歓一。 1期上の兄弟子に川崎修がいる。 まして政治は、みなのことについて決める営みです。複数の人びとの間の集合的な決 定にかかわるわけで、そのために、政治は個人的な決定とは別の水準の理不尽さをもた らすものとして、私たちに意識されることが多い。複数による決定ですから、自分の意 のままにはいかないことも少なくないのです。全体を称する多数派の都合のために、 分が損をすることだってある。だからといっていつも従わなければ、決定すること自体 が無意味になってしまいます。この世に自分一人だけで暮らしているわけではないです から、集合的な決定は避けられるものではありません。納得はいかないけれども受け容 れないわけにもいかない。このあたりから、政治というものにはある種の不愉快さ、押 しつけがましさがつきまとうことにもなるわけです。 一般的にいって、政治に過度に期待することはあまりいいことで はありません。過度な期待は絶望と紙一重です。期待が裏切られる と、政治そのものへの絶望につながります。そして、政治などなく てもいいのではないかという話になってしまう。 ただし、政治との問に距離をとるべきだといっても、それは、政 治をなくせばいいという話とは違います。逆説的ですが、政治を活 かすためにこそ、政治に距離をとるべきなのです。政治に距離をと ることで、政治は活きるのです。政治的思考にとって大切なことを 以下にまとめてみましょう。 第一に、政治はさまざまな価値観にかかわるものであり、多様な 価値観の間の調整こそが政治だということを理解する必要がありま す。 よくいわれることですが、ユーモアとは自分に対して距離を置く ことができるような態度と関係しています。深刻な問題であって も、少し距離を置いてみれば、たかだかこの程度の問題だというこ とで、気持ちが少し軽くなる。それがユーモアでしょう。そう考え てみると、実は政治や外交にはユーモアが必要なのかもしれませ ん 政治は、利害関係を異にする生身の人間たちの対立を前提とし て、調整する作業をしなくてはならない。これは簡単な話ではあり ません。自然を相手にしているわけではないですから、すっきりし た結論が出ないのも当然です。政治は複雑な活動です。

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2022/09/24

今の政治システムは完全なものではない。全員の意見を汲み取ることは不可能だし、構造上の欠陥があるのは事実である。だからといって、闇雲に制度を批判したり、政治参画を放棄しても良いわけではない。そもそも政治から逃れることは不可能で、どのように向き合っていくか、問題に対してどのようにアプ...

今の政治システムは完全なものではない。全員の意見を汲み取ることは不可能だし、構造上の欠陥があるのは事実である。だからといって、闇雲に制度を批判したり、政治参画を放棄しても良いわけではない。そもそも政治から逃れることは不可能で、どのように向き合っていくか、問題に対してどのようにアプローチをするのか、深く考えることができた。

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2022/07/18

政治哲学の本。 10年くらい前に刊行されているが、今読んでも古びていない。 誰が、いつ、政治的な決断をするのか。 誰かが誰かを代表するとはどういうことか、可能なのか。 権力の源泉は。そして自由とは権力をなくすことか。 アトランダムに書き出したが、こんな原理的な問題が検討されて...

政治哲学の本。 10年くらい前に刊行されているが、今読んでも古びていない。 誰が、いつ、政治的な決断をするのか。 誰かが誰かを代表するとはどういうことか、可能なのか。 権力の源泉は。そして自由とは権力をなくすことか。 アトランダムに書き出したが、こんな原理的な問題が検討されていく。 いま、ここにある問題を外部化するのは危険なことだという話が印象的だ。 政治家のせい、官僚のせい、外国のせいとすれば、気持ちは楽になるが、問題は解決しない。 自分(たち)の中の、変化を嫌う何かを見極めなければならない、というのだ。 その通り、とも思うが、難しいだろうな、とも思う。

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2021/03/27

前半おもろい。 後半は難しくておもんなかった。 政治をどう理解すればいいか、 政治へどう接したらいいか書かれた本。

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2020/05/30

平易な文章で書かれており、大学で政治学を学ぶ前、政治とは何だろうと考える際に一読するのが良いのかもしれない。柔らかい文体ではあるが、ところどころ思い切り突き刺してくる。 読みおわってなるほどなと思った後に、あとがきを読んで思わず笑ってしまった。

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2020/01/11

十人十色の考え方や意見の相違を調整するのが政治の営みである。ゆえに誰もが政治から逃れることはできない。政治の問題は、すべて自分自身の問題に帰するのである。

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2018/02/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

決定・代表・討議・権力・自由・社会・限界・距離という8つのテーマを通して、政治の捉え方、関わり方を記す。 政治は皆のことについて決める営みである。納得はいかないが、受け入れなければならないこともある。政治に不愉快さ、押し付けがましさがつきまとうのはこのことによる。何を問題とするかを決めた時点で、責任を誰に問うかもある程度決まっている。したがって、いつ何を問題とするか決めることは慎重であるべきである。 代表制が必要な理由には、規模の問題、専門性の問題がある。しかし、それだけではなぬ、政治家がそれぞれ意見を主張することで、知識の乏しい人々が争点や対立軸を理解するという政治劇(演劇)的な装置として代表制が存在していると考えられる。 討議することは民主制において重要であり、消滅してはならない。政治に正しさを過度に導入しようとすると、人々による話し合い、複数性が排除され、全体主義体制になりうる。 主権的な権力だけでなく、監視の権力、市場の権力等について、我々が支えているといえよう。その権力が排除されていないのは、我々が望んでいるからである。したがって、不都合な問題に対して、外部の人に押し付けるポピュリズム的な考え方をするのは妥当ではなく、権力の責任者はここにいることを自覚するべきである。 自由は権力と対義されやすいが、社会権のように自由の条件整備のために権力が必要な場面もある。すなわち、自由な状態とは政治的な秩序の不在ではなく、むしろ権力や政治によって実現しなければならない点もある。 今では経済のグローバル化と主権国家の相対化により、国民という単位で政治的な決定をしても、その効果が限定的になっている。政治の複雑性や不透明性が拡大している今日、当事者として関与しながらも、過度な期待を持って早期解決を求めない距離を保ち、中長期的・俯瞰的な視野を持つことが必要なのである。 政治との関わり方を一般人に分かりやすく示した書である。また、政治が我々の生活の至る所に不可分のものとして存在していることを理解させてくれる書でもあり、政治に詳しくない初学者向けの良書であろう。 しかし、政治と関係するあらゆる分野について(例えば、メディア、官僚制、教育)、そこに存在する課題の全ての要因を我々に帰着させている点が強引すぎるように感じた。確かに、民主主義国家でにおいては民意を反映させた政治がなされるが、そのことをもって政策の全てを直ちに自分たちの一部とする(当然そこに責任も発生する)のは、我々の範囲を広く捉えすぎているのではなかろうか。

Posted byブクログ

2014/11/10

政治を論じる上での現代的論点を分かりやすく整理した一冊. 政治学は「市民の学」であるわけで,ぜひ多くの「市民」の皆さんに手に取ってもらいたい.

Posted byブクログ

2014/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

過去と未来の間として現在にふみとどまって、自分たちの行動がもたらす影響について、考えをめぐらしてみることも必要なのではないでしょうか。(p.27) 政治については、「正しさ」をやみくもに追求してもうまくいかないけれども、「正しさ」などないと開き直ってもいけない。政治とは、欲望をもった人びとが出会い、何とか共存の道を見出していく、両儀的な領域です。必要なのは、「まあまあ正しい」政治を実現するために、さまざまな声に耳を傾けていくことです。(p.71-72) 権力を一方的に行使されているという考え方をやめ、権力課程の当事者であるという意識を持った時に、すなわち、責任者はどこか遠くにいるのではなく、今ここにいると気づいた時に、権力のあり方を変えるための一歩がふみ出されるのである。(p.102) 自由とは、完全な一身では決して実現できるものではない。そのことを、まずは認めたほうがいいと思います。かといって、完全には実現できないのなら、自由には意味がないのかというと、そうではありません。自由を求めることのうちにこそ、自由の重要な本質が存在がある。自由を求め続けるからこそ、政治が必要になります。そして、政治が存在している限りで、自由は実現しているのです。(p.125) 政治はさまざまな価値観にかかわるものであり、多様な価値観の間の調整こそが政治だということを理解する必要があります。(p.188)

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