イメージ の商品レビュー
いわゆる“萌え絵”を見たときの、あのなんとも言えない居心地の悪さってなんなんだろう。絵そのものというより、それを見る自分がどういう立場に置かれているかに違和感がある気がして、そこをうまく言語化している本はないかなと探していたときに、この本に出会った。 本書は、西洋絵画をはじめと...
いわゆる“萌え絵”を見たときの、あのなんとも言えない居心地の悪さってなんなんだろう。絵そのものというより、それを見る自分がどういう立場に置かれているかに違和感がある気がして、そこをうまく言語化している本はないかなと探していたときに、この本に出会った。 本書は、西洋絵画をはじめとする視覚芸術における「見る/見られる」の関係を鋭く読み解いた名著。とくに第3章「「見ること」と「見られること」」は印象深かった。西洋絵画における裸婦画の問題点が、ジェンダーの観点から明快に論じられていて、「女性の身体が“光景”として描かれている」というだけではなく、「それを見る鑑賞者が常に“男性”であると想定されている」という構造的な暴力性に気づかされた。 私はこの分野に詳しいわけではないけれど、第3章に書かれているような指摘は、現代の広告やテレビ・アニメ・ゲームにおける女性の描かれ方にも通じるものがある。だからこそ、ただ古典美術の話をしているだけでなく、今の「私たちの目線」についても問いかけられているように感じた。 また、著者は絵画というのは「所有欲」のあらわれでもある、と説く。花やモノ、そして裸婦や私用人、奴隷が絵画で描かれてきたのは、ただの記録ではなく絵の所有者や制作依頼者が「私はこれを持っている」というアピールでもあるのだという。それを知って、風俗画や生物がに対する見方も変わるような気がする。見ることの構造というのは、ずっと政治的で、資本主義的で、それでいて無意識に再生産されているのかもしれない。
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他の方も指摘していることだが、本文そのものは短い。興味深い主張がさまざまあるが、それが論証されることはあまりない。翻訳者の伊藤俊治氏の解説が不充分な点を補ってくれている。 伊藤氏のことばを引くと、 絵画やイメージを様式史として認識するのではなく、今、生きて、見ている我々の地...
他の方も指摘していることだが、本文そのものは短い。興味深い主張がさまざまあるが、それが論証されることはあまりない。翻訳者の伊藤俊治氏の解説が不充分な点を補ってくれている。 伊藤氏のことばを引くと、 絵画やイメージを様式史として認識するのではなく、今、生きて、見ている我々の地層をつくりだしているもの、我々の「現在」を浮かびあがらせるものとして見つめ直そうとする 試みである。 油絵と広告を対比することによって見えてくるものが多いことを教えられた。 ソーシャルメディアでの投稿は広告的な性格のものなのではないだろうかと感じた。
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見ることの本質とは想像以上に深く多層的で、社会、歴史、文化、それぞれの背景をもとに外向的にも内向的にも絶えず変化していく。 ベンヤミンの複製技術論は本著の論述において特に大きなウェイトを占めているが、後半で記される近代化による都市空間の変化、特にパリの部分に関しても、やはりベンヤ...
見ることの本質とは想像以上に深く多層的で、社会、歴史、文化、それぞれの背景をもとに外向的にも内向的にも絶えず変化していく。 ベンヤミンの複製技術論は本著の論述において特に大きなウェイトを占めているが、後半で記される近代化による都市空間の変化、特にパリの部分に関しても、やはりベンヤミンの視座が援用されている。 見ることとは技術の一つであり、その技術に長けた人もいれば苦手な人もいる。 映画や画像が大量生産されるSNS時代において「見ること」とは何なのか。 そもそも「見ること」に先行する「見られるもの」が人の内面に干渉することで、思考のメカニズムや趣味趣向、ひいては心の在り方すらも変化させる。
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美学関連の本を読みあさっていた時にリストアップした本。 様々な視点から「見る」ということを再考している。今まで 多くの本を読んできた私にとっても新たな視点の発見がある という僥倖。「男は女を見る。女は見られている自分自身を 見る」「所有形式としての絵画」「肖像画の相貌はやがて マ...
美学関連の本を読みあさっていた時にリストアップした本。 様々な視点から「見る」ということを再考している。今まで 多くの本を読んできた私にとっても新たな視点の発見がある という僥倖。「男は女を見る。女は見られている自分自身を 見る」「所有形式としての絵画」「肖像画の相貌はやがて マスク(仮面)になっていった」「広告は未来について語って いる」etc. 近々「見るということ」も読みます。
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2022/03/30 説明がわかりやすい。翻訳がいいのかな? 絵を考える時にすごく役に立ちそうな本だ
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原書名:WAYS OF SEEING 1 イメージの変容 2 社会空間になったイメージ 3 「見ること」と「見られること」 4 見られる女たち 取り囲む女たち 5 所有するタブロー 6 「見ること」のなかの「所有すること」 7 広告の宇宙 見ることのトポロジー(伊藤俊治)
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「借」(大学の図書館。) 「ものを見る」とはどういうことなのか。 これが中心のテーマとなっている本。 油絵のもつ意味とは? 広告と油絵の関係とは? など、様々な視点から、「ものを見る」ということに対して問題提起をしている一冊。 最近、イメージとかに興味があったから とても刺...
「借」(大学の図書館。) 「ものを見る」とはどういうことなのか。 これが中心のテーマとなっている本。 油絵のもつ意味とは? 広告と油絵の関係とは? など、様々な視点から、「ものを見る」ということに対して問題提起をしている一冊。 最近、イメージとかに興味があったから とても刺激的だった。 できたら手元に欲しい一冊。
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絵画、写真、広告などの各種画像を並べ、見る=わかる(see)とは何かという問いを提起する、意欲的な著作。 「見られるもの」であり、かつ「見られる自分を見るもの」でもある女性をめぐる考察、複製技術による「芸術」の意味の変化、政治的現象としての広告など、とても興味深い考察が繰り広げら...
絵画、写真、広告などの各種画像を並べ、見る=わかる(see)とは何かという問いを提起する、意欲的な著作。 「見られるもの」であり、かつ「見られる自分を見るもの」でもある女性をめぐる考察、複製技術による「芸術」の意味の変化、政治的現象としての広告など、とても興味深い考察が繰り広げられる。 ただし「油絵の歴史」の項はちょっと腑に落ちないところがあった。古典的西洋絵画は「物の所有」という、資本主義的欲望と結びついているというのだ。そういう部分もあるかもしれないが、「所有」が絵画に結びつくという考えはしっくりこないものがあった。 図版が大量で、この本は文章としては実質短い。ちょっと舌足らずで、仕切り切れトンボで終わってしまっている感もあり、少し残念だった。 問題提起の書としては、すこぶる面白いと思う。
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