山本覚馬 の商品レビュー
明治維新の影の立役者山本覚馬。 八重の桜主人公、八重の歳の離れた実兄。 この人が失明していなかったら歴史は変わっていたはず。 この時代にこんな拓いた人がいたのかとただただ目から鱗。
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いよいよ始まる2013年大河ドラマの主人公、新島八重の実兄、山本覚馬の生涯をコンパクトにまとめた本である。 覚馬、八重が生まれた会津藩は文久2年(1862)、藩主松平容保が新設の京都守護職に任じられたことで運命が一変した。親藩である会津藩は幕政に関与しない建前だったが、いわば「特命」を受けての守護職就任で、幕末政治の動乱に巻き込まれ、藩滅亡への道を歩み始める。 以来、会津といえば、一橋慶喜、容保の実弟で桑名藩主の松平定敬とともに「一会桑政権」を構成して、長州藩、さらには薩摩藩と敵対したということで知られる。これに対し、山本覚馬は薩摩藩と太いパイプを持ち、対立よりも融和を唱えて諸外国への備えを説いたため会津藩内で異彩を放っていた。 勝者の側(たとえば薩摩藩)も敗者の側(たとえば会津藩における山本覚馬)も、必ずしも一枚板ではなかったということが重要なのだろう。それぞれが内部に複雑な対立を抱えながら歴史が進行したことが、幕末維新政治史の真のストーリーなのである。 著者、安藤氏によれば、従来の幕末維新史は、勝者である薩長の側からみた歴史観が強く反映されているという。敗者である幕府から見た幕末維新史を提唱してきた著者ならではのバランスのとれた視点は、本書の特にすぐれた点である。両方の立場を公平に見ることで、複雑な幕末維新期の展開も、わかりやすく見えてくる。 本書の後半は、東京遷都ですっかりさびれてしまった京都の復興に尽くす山本覚馬の業績が描かれている。同じ著者の『新島八重の維新』と一緒に読むことで、今年の大河ドラマの背景がより立体的に理解できると思う。
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