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ガリレオの生涯 の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2023/08/20

アンドレア 英雄のいない国は不幸だ。 ガリレオ  英雄を必要とする国が不幸なのだ。 ブレヒト『ガリレオの生涯』1943

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2022/05/07

地動説をめぐる教会との対立と、自説の撤回。そこから「新科学対話」を弟子に託すまでのガリレオの人生が戯曲化された作品。 印象に残った場面… アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」 ガリレオ「英雄を必要とする国が不幸なのだよ」 ガリレオ先生!!!

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2020/02/24

読書中のメモを転載。 この作品中のガリレオはしたたか。自説を撤回したのもそうだが、自分に有利なように権力者や聖職者を利用しようとする。 その一方で、弟子のアンドレアなどに対しては純粋で優しい。 でも本来なら感謝しなければいけないおかみさんや娘にはどこか冷たい。彼らは科学に興味...

読書中のメモを転載。 この作品中のガリレオはしたたか。自説を撤回したのもそうだが、自分に有利なように権力者や聖職者を利用しようとする。 その一方で、弟子のアンドレアなどに対しては純粋で優しい。 でも本来なら感謝しなければいけないおかみさんや娘にはどこか冷たい。彼らは科学に興味がない、ただの人間だったからか。 そういう、人間ガリレオの多面性を描くのがすごくうまい。ブレヒト自身の自己投影か。 …解説を読む限り作者はそういうことを意図していなかった、または重要視していなかったのかもしれないが、この作品にはそういうところにあふれている。

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2018/11/26

真実が時代の子供ではなく、権威の子供になることの滑稽さを見事に浮き彫りに描き出した傑作。 政治と宗教を一体化させていた、キリスト教を中心にまわっていたヨーロッパ世界で、絶対権力である教皇の権威を完全に崩壊させかねない、地動説。 その地動説を唱えた人間達をことごとく滅殺してきた...

真実が時代の子供ではなく、権威の子供になることの滑稽さを見事に浮き彫りに描き出した傑作。 政治と宗教を一体化させていた、キリスト教を中心にまわっていたヨーロッパ世界で、絶対権力である教皇の権威を完全に崩壊させかねない、地動説。 その地動説を唱えた人間達をことごとく滅殺してきた権力者達は、地球を宇宙の中心に置き続けることを強制する。 最後まで幽閉され続けたガリレオの地動説が正しいと、再度見直し認められたのは1992年になってから。 ガリレオが1642年に没してから実に350年後。

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2018/10/13

原書名:LEBEN DES GALILEI 著者:ベルトルト・ブレヒト(Brecht, Bertolt, 1898-1956、ドイツ、劇作家) 訳者:谷川道子(1946-、ドイツ文学者)

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2014/07/20

科学と真理の関係、弾圧と抵抗の関係、政治と人生との関係。 ナチスの台頭と共に亡命を繰り返したブレヒトは、火あぶりになったコペルニクスを目の前に見ながらそれでも真理を探求せずにはいられない1人の男を、自分と被せながら書いていったのだろう。 科学的真実は実験と推論を経てやがては証...

科学と真理の関係、弾圧と抵抗の関係、政治と人生との関係。 ナチスの台頭と共に亡命を繰り返したブレヒトは、火あぶりになったコペルニクスを目の前に見ながらそれでも真理を探求せずにはいられない1人の男を、自分と被せながら書いていったのだろう。 科学的真実は実験と推論を経てやがては証明されるだろう。しかし、その時代の社会で広められるとは限らない。人間は、果たしてその科学的真実に対して、どのような態度を取るべきなのか。 フクシマ的な課題を背負っている現代に、新たな問いを投げ与えながら、感慨深くこの書を読んだ。 ひとつひとつの台詞がとても練られていて、やはり現代文学の収穫だろう、と思う。 「真理とは、時代の子供であって、権威の子供ではありません。無知は限りなく大きいのですから、一立法ミリメートルずつでも、取り除いていくしかない!」 「これが彼らの政治のやり方なんですよ。実をつけなくなったイチジクの病気の枝みたいに、私らを切り捨てる」 「真理知らぬ者は馬鹿だが、真理を知りながらそれを嘘だという者は犯罪者だ!」 「ひもじがってる熊に蜜蜂などやったら、手まで食われちまう!」 アンドレア「英雄のいない国は不幸だ!」 ガリレオ「違うぞ。英雄を必要とする国が不幸なのだよ」 「私は思うんだ。科学の唯一の目的は、人間の生存の辛さを軽くすることにある、と。科学者が利己的な権力者に脅かされて、知識のための知識を積み重ねるのに満足するようになったら、科学は不完全になり、君たちの作る機械だって、新たな厄災にしかならないかもしれない。時を重ねれば、発見すべきものはすべて発見されるだろうが、その進歩は、人間からどんどん遠ざかっていくだけだろう。君たちと彼らの溝はど大きくなって、新しい成果に対して君たちがあげる歓呼の叫びが、全世界のあげる恐怖の叫びになってしまう、という日もいつか来るかもしれないのだよ。」 2014年7月13日読了

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2013/10/16

教皇ヨハネ・パウロ二世がガリレオに謝罪した日に,読んでみた。前半は全15景の戯曲。数学教師だった彼の半生は七転八起である。望遠鏡を発明してコペルニクスの天動説を証明したが,教皇庁によって禁書の憂き目に遭う。次に科学者である新教皇のもと太陽黒点の研究に着手したが,10年後,これも当...

教皇ヨハネ・パウロ二世がガリレオに謝罪した日に,読んでみた。前半は全15景の戯曲。数学教師だった彼の半生は七転八起である。望遠鏡を発明してコペルニクスの天動説を証明したが,教皇庁によって禁書の憂き目に遭う。次に科学者である新教皇のもと太陽黒点の研究に着手したが,10年後,これも当の教皇によって学説を撤回させられる。異端審問所の監視のもと生涯を終えた彼だったが,その中でも新科学対話を執筆する。戯曲のあとは,アインシュタインと大震災とガリレオを結びつけた訳者の論考。真理探求への内面に共感する。

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2013/02/27

明らかにそれが真理と悟っていながら、時代によって探究を諦めなければならなかったガリレオの生涯。発明家としての名誉と金、時の権威が交錯する世界で、彼が闘い貫こうとしたものは何だったのか。その人間模様もそうだけれど、中世キリスト教の封建的な価値観への認識も深まり、面白い本だった。

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