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古代日本の超技術 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2022/08/25

東日本大震災から11年目だ。色々浮かぶことはあるが、古代の日本の技術には目を見張るものがあった。 2012年に開業した東京スカイツリーは、古代からの技術を取り入れている。それは、制振構造技術だ。東京スカイツリーでは塔の真ん中に「心柱」を挿入した。鉄筋コンクリート製で、高...

東日本大震災から11年目だ。色々浮かぶことはあるが、古代の日本の技術には目を見張るものがあった。 2012年に開業した東京スカイツリーは、古代からの技術を取り入れている。それは、制振構造技術だ。東京スカイツリーでは塔の真ん中に「心柱」を挿入した。鉄筋コンクリート製で、高さ375メートルになる。 この技術は、奈良にある法隆寺五重塔などの日本古来の木塔に使われていた。 日本には、木造の仏塔は全国に500以上あった。火災などの理由によって焼失して建て替えたが、地震によって倒壊した例はほとんどなかったというから驚きだ。 瓦に方言があったと聞いて頭の中がはてなマークになった。「方言の瓦」と表現したのは、数多くの文化財建造物の再建・修復に携わった小林章男「瓦博士」だった。日本各地にある独特の瓦をそのように表現した。 瓦も言葉の方言同様、戦後の高度成長時代とともに消えていき画一化されていった。 驚いたのは「瓦が呼吸する」ことだ。小林から著者は聞いたところによると、「日本の在来木造家屋はかつて、屋根からも天井裏からも室内の湿気をきれいに吸って、屋根から吐き出していた。そういうことができる昔の瓦は理想的だった」と述べた。 瓦も全呼吸していた時代があったのかあ。

Posted byブクログ

2016/04/17

「古代世界の超技術」を読み、この本の存在を知った。 「古代世界」に比べると地味な印象がある古代日本だが、あなどれない「超技術」がけっこうあるのには驚きだ。 目次によると、内容は  1.五重塔の心柱  2.日本古来の木造加工技術  3.”呼吸する”古代瓦  4.古代鉄と日本刀の秘密...

「古代世界の超技術」を読み、この本の存在を知った。 「古代世界」に比べると地味な印象がある古代日本だが、あなどれない「超技術」がけっこうあるのには驚きだ。 目次によると、内容は  1.五重塔の心柱  2.日本古来の木造加工技術  3.”呼吸する”古代瓦  4.古代鉄と日本刀の秘密  5.奈良の大仏建立の謎  6.縄文時代の最新技術 の六つ。 「超技術」はいずれも現在の科学によって理にかなっていることがわかるのだが、なかでも作製するものによって材木の種類を変える(舟は杉/樟、棺は槙、宮は檜)というのは、なるほど理にかなっているようだ。

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2015/12/25

あの時代にこんな技術が!五重塔と東京スカイツリーの意外な共通点、古代瓦の驚異、日本刀の多層構造など、現代科学が読み解く技術ミステリー。

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2014/09/13

現代技術にもつながる古代日本の超技術。廃れてしまったものもあるが、経験に基づく驚くべき技術。便利でない時代だからこそ、試行錯誤しながら、経験を重ねて培っていった技術。たたら鉄、古代瓦、大仏鋳造、三台丸山遺跡など。

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2014/06/29

五重塔が地震に対して安定な原因が心柱であること、法隆寺の木材の加工方法の素晴らしさ、古代瓦の巧みな製造過程、日本刀の金属的な素晴らしさなどなど古代日本の技術の素晴らしさを説明している.随所に半導体の製造技術との比較があり、楽しく読めた.

Posted byブクログ

2013/06/21

経験と知恵により伝承された古代日本の技術力の高さに感動。数知れない多くの検証に要した時間の長さ。その中で生まれた古代技術が、現代の基準の下に次々と捨て去られている風潮への杞憂を感じざるを得ない。

Posted byブクログ

2013/05/01

論文体とエッセイ文体が混じっている上にあちこちに話が飛び、かなり読みづらい。 「何がすごいのか」ではなく、「私はこれをやった」と、自分が研究してきた経過を述べる記述は日本の学者に非常に多く見受けられるが、人に理解してもらうという姿勢に欠けており、悪印象。 テーマは面白いし所々に傾...

論文体とエッセイ文体が混じっている上にあちこちに話が飛び、かなり読みづらい。 「何がすごいのか」ではなく、「私はこれをやった」と、自分が研究してきた経過を述べる記述は日本の学者に非常に多く見受けられるが、人に理解してもらうという姿勢に欠けており、悪印象。 テーマは面白いし所々に傾聴すべき部分もあるだけに、後の人達が未完の研究を継いで技術を継承、復活させるためにも、もっと面白く書ける人が書き直して別の本にしたほうが良いかと。

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2013/04/26

縄紋時代の三内丸山遺跡(5500年前-4000年前)の大型掘立柱(直径1m、高さ約15m)が凄いのだとよく言われる。しかし、どの位凄いのかは実は知らなかったことを知った。ここには、なんと現代の私たちをもびっくりさせる「技術革新」が幾つもあったのである。 ●木柱の底部の形は石斧で整...

縄紋時代の三内丸山遺跡(5500年前-4000年前)の大型掘立柱(直径1m、高さ約15m)が凄いのだとよく言われる。しかし、どの位凄いのかは実は知らなかったことを知った。ここには、なんと現代の私たちをもびっくりさせる「技術革新」が幾つもあったのである。 ●木柱の底部の形は石斧で整えられ、柱の周囲は焦がして腐りにくくする加工が施されていた。 ●全ての柱が4.2mの等間隔(←約35cmの縄紋尺の存在) ●全ての柱を内側に二度傾けることによって、互いに倒れにくくした「内転び」の技法 ●枠を作り、少しずつ土砂を混ぜて固める「版築」の技法(←世界史では4000年前の龍山文化より始まるとされている)を使った形跡がある。 ●柱をどのように立てたのかはまだ解明されていない。 著者は「自然を活かし、自然に活かされていた古代日本の技術がねじ曲げられ始めたのは、室町時代のようである」と言っている。「それはまた、日本に「成金文化」が栄え始めた時代でもあった」。「効率」と「経済性」の執拗な追求、それが貴重な技術を失くす元凶になったのである。 私は、中国や韓国博物館を渡り歩いて古代に関して云えば海外の方が遥かに文明度が高かったと思っていたが、少し認識を修正しなくてはならないかもしれない。モンスーン気候で木々が豊富にあり、細やかな自然の変化がある日本列島には其れなりに世界の最先端をゆく技術があったのである。伊達に縄紋弥生で2600年を過ごしたわけじゃない。 以下、印象に残った処をメモする。 ●日本の仏塔は500以上あるそうだが、それらは焼失で建て替えはあったが、地震による倒壊はほとんど「皆無」だそうだ。「方丈記」に載っている1185年の大地震でも、関東大震災でも、東日本大震災でも木塔はひとつも倒れていない。なぜか、現代のスカイツリー、高層ビル建築に応用されている「宙吊り心柱」が採用されているからである。 ●木材加工技術に関して。「古事記」でスサノオが「舟は杉と楠で、棺は槙で、宮殿は檜で作れ」と言っていたが、全て理に叶ったものだった。 ●杉は比重が小さく(軽く)、強度もあり、しかも精油が含まれているので、防腐剤、防水効果があり、大木になり、材質が柔らかく加工しやすかった。楠は比重はそれ程でもないが、樟脳と樟脳油があり、防腐剤効果は抜群、強度にも優れ、大木になる。 ●棺で思い出すのは韓国公州の百済の墓にわざわざ日本の槙が使われていたことだ。対湿、耐水、強く、適度に軽いことが求められる。そうなれば、風呂桶にも利用される槙が良い。檜もいいが、槙が使わられるのは、独特の匂いからかもしれない。 ●欅の方が檜よりも強度が優れている。大木でもあり、化粧的な価値もある。しかし、檜に叶わない。欅は年を経るにしたがい急速に弱くなるのに対し、檜はなんと200年ぐらいで逆に30%強くなり新木と同じに戻るのは千数百年を要する。よって法隆寺は未だに創建時の強さを保っている。だから、建材は檜、宮は檜になる。 ●神戸市元町の竹中大工道具館は、国宝にも指定されないし、記録されることもない職人の技が見える展示館である。 ●台鉋(カンナ)、電気鉋で削った面は確かに平滑で平坦である。しかし、削られた木の表面は木の繊維が切断されているために、水をたらすと、水を吸い込む。一方、槍鉋で削った面はデコボコしているが、木の繊維の堅い層が残されているので、水をたらしても、それをはじく。だから、黴も出来ないから耐用年数に大きな違いが出る。室町時代以前は大鋸や台鉋は使わず、打ち割製材を使い、手斧で表面荒仕上げをし、槍鉋で最終仕上げをしていた。 ●古代瓦は呼吸をする。よって室内の湿度調整をすることにより、高温多湿の日本の気候から古代木造建築を内から守って来た。現代瓦は呼吸せず、建物を外からの攻撃から守るだけ。 ●古代の釘は千年持つ。現代の釘は外に出しておくと10年たたないうちにボロボロになる。飛鳥時代の和釘はおよそ1300年もち、まだ1000年経っても大丈夫だと言われている。それはたたら製法から作られた和鋼の釘だからである。たたら鉄には錆びやすくする不純物(硫黄、マンガン、シリコン)が少なく、錆びにくくする不純物(チタン)が多い。さらに黒錆が出たらそれは赤サビとは違い返って鉄を錆から守るのである。 2013年4月17日読了

Posted byブクログ

2013/03/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ブルーバックスはやっぱり良い本を出します.この本も良い本です. 現代の日本の技術に通ずるものが,たくさんあることを少しは知っていましたが,この本を読んでまさに驚愕の連続です.スカイツリーに古代木造建築の五重塔と同じような技術が盛り込まれているとは知りませんでした.目から鱗が落ちる状態です. 日本は地震も多ければ,台風や四季の移ろいなど,色々な自然現象の変化のとむ環境の中で,人は生き続けてきたわけです.人がそこに住み続けるために,それこそ色々な工夫をしなければ自然の変化や猛威に立ち向かうことが出来なかったはずです.こういった風土に合わせたまさしく文化が,こういった技術の中に結集されていったのでしょう. 歴史を学ぶことの意義を理系的な視点から見たような気がします.

Posted byブクログ

2013/02/12

≪目次≫ はじめに 第1章  五重塔の心柱 第2章  日本古来の木造加工技術 第3章  ”呼吸する”古代瓦 第4章  古代鉄と日本刀の秘密 第5章  奈良の大仏建立の謎 第6章  縄文時代の最新技術 ≪内容≫ 半導体の専門家だが、物理学のフェローもしている著者による、古代の技術...

≪目次≫ はじめに 第1章  五重塔の心柱 第2章  日本古来の木造加工技術 第3章  ”呼吸する”古代瓦 第4章  古代鉄と日本刀の秘密 第5章  奈良の大仏建立の謎 第6章  縄文時代の最新技術 ≪内容≫ 半導体の専門家だが、物理学のフェローもしている著者による、古代の技術論(1997年版の改訂新版)。 法隆寺の五重塔やほかの建築物の話の1、2章はなかなか面白く、3章の瓦も古代の焼き方の利点に「なるほど」と思う。効率を求めていると結果として木材をだめにしている(結露を起こすなどして)話など、今後の日本の技術発展の参考になるのではないかと思った。金属系の話は、ちょっと専門性が強くてわからない部分もあったが、日本刀の話は、もしかすると日本刀は時代劇のように何人も「ばっさ」と切れるのかもと感じた。

Posted byブクログ