花よりも花の如く(11) の商品レビュー
TVドラマの放送が反響を呼び、能に興味を持つ人も出てくる。憲人に弟子入りしたいという人たちも。憲人は全員を受け入れることにする。TVの威力はなかなかすごい。 憲人が10巻で「高砂」を謡ったときの花嫁も、弟子入りを申し出る。 憲人も「道成寺」の大きな舞台を控えるが、憲人の師匠筋で...
TVドラマの放送が反響を呼び、能に興味を持つ人も出てくる。憲人に弟子入りしたいという人たちも。憲人は全員を受け入れることにする。TVの威力はなかなかすごい。 憲人が10巻で「高砂」を謡ったときの花嫁も、弟子入りを申し出る。 憲人も「道成寺」の大きな舞台を控えるが、憲人の師匠筋でも大きな舞台がある。 祖父である左右十郎が、息子(憲人の叔父)に名を譲り、(おそらく)隠居名となる襲名記念公演だ。 その場で演じられるのが「安宅」(cf:『安宅(対訳でたのしむ)』)。義経・弁慶伝説の「安宅の関」の物語である。歌舞伎では「勧進帳」として演じられる。歌舞伎の「勧進帳」は、関所を守る富樫は、通ろうとしているのが義経一行であると気づいているが、能ではあまり判然としない。弁慶は面をつけない素顔、直面(ひためん)で演じられる。とはいえ、やはりこれも「面」の一種で、あまり喜怒哀楽の表情を表すものではないとされている。 新・左右十郎が踏むこの舞台には、彼の息子も子役として加わっている。 憲人は、母が能の家に生まれ、弓道の家に嫁いでいるため、家族内で舞台についての会話が日常的にあるわけではない。そのことのハンデも思う憲人。 憲人は「弱法師」の舞台を控える(cf:8巻)。 眼を見えない人の心情をどう捉えるか。思い悩む憲人はふとしたことから盲目のマッサージ師でバイオリンも弾く望と知り合う。さて、憲人は何かを掴めるだろうか。
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隆生先生が写真やレコードを探してくれたり 憲ちゃんに見せる為にももう一度舞おうとされたり というところが感じ入るし 伝統芸能の生々しさであるとも感じる。 そうやって目の前で見せることでしか 伝わらないこともある。 葉月さんが「一番したかったことを忘れるために ピアノを始めたのかも」というのはぐっときた。 『かげきしょうじょ!!』でも主人公がそうだったが そういう家に生まれて舞台に憧れて でも伝統芸能で男性だけのものだから自分は立てない というのは辛いところだ。 だからと言って女性も立たせろ、という問題ではないし。 葉月のピアノが好きと言ってくれる憲ちゃんや先生たちがありがたいし 『楽しい時間と同じように傷は隣の人を近くする』 という表現が美しい。 安宅の関を越える、というのが本当に文字通り 一同で越えるというのに感じ入った。 確かに興味がないと舞台に立つと言っても 趣味だと思うかもしれないし、 能と狂言と歌舞伎の区別がつかないという人もいそうだ。 だから彩紀の言う通り、ドラマの功績は本当に大きいとは思う。 ただ当の本人は「私には杖すらない」と思い悩む真っ最中。 自覚した途端今まで気にならなかったことも 気になってしまう気持ちはよく分かる。 望さんとの出会い、丁寧に描かれているからこそ ご都合主義に感じず、憲人が”持っている”なと思える。 マッサージ師だからこそ自然に「また来ます」が成り立つし。 家族ではなく能関係の人でもなく、でも同じ役者である琳さんは 悩みを話すのに丁度よい距離感の友人だったのだろうなと思う。 憲ちゃんの蝉丸を力強く思えたという葉月さんの感想がとても良い。 演じる人や考え方(演出)で変わるから芝居は面白いのだ。 その意味でテレビドラマだって同じなのに、 同僚から「TV組」なんて揶揄されるのは悔しいものがある。 漫画だからと言ってしまえばそれまでだが 憲ちゃんといい周りの人といい行動力があって展開が早い。 HPに載せたら?とか紹介して?とか、実際にちゃんと現実にしていくところが良い。 現実だとなかなか周りが気乗りしてこなくて 空回りすることが多い気がする。 忙しくて後回しにしたいことでも 焦りつつもきちんと投げ出さないところが素敵だし それをきちんと身にできるところが素晴らしい。
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ドラマきっかけで伝統芸能に興味を持つひとは多いと思う。野村萬斎、海老蔵など。このマンガきっかけでお能に入るのだってアリ。
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「年をとるというのはマトリョーシカみたいなもんでねぇ。20歳の自分も5歳の自分も中にいるんだよ。どんな大人も20歳でも5歳でもあるんだ。」ゴッホ先生。憲人はすぐにコンプレックスを感じていじけてしまう。悩んで、折り合いをつけて大人になっていくんだけど。ちともどかしい。
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相変わらずしっかりしたお話で安心して読める。 しかし、いいタイミングでいい人と巡り会える引きのよさは凄いなー、憲人。
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逢坂までは、さすがに来ないか。残念(笑)近所なので。 昔の成田 美名子は、ものすごく起承転結をしっかりつくる人だったのですが、「花よりも花の如く」は、それが見えない。見えないのに、しっかりとお話がつながっていて、おもしろいところが凄いです。
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憲人が「榊の会」の立ち上げで忙しくしてたり、能の家の弟子でなかったことに苦悩してます。テレビを見て能を習う人が増えてるみたいですけど、現実的にそういうことを考えたことはないなぁって。興味を持つのはいいことなんでしょうけどね。 あと、高尾山での話は、一瞬夢話かと思ったら、現実話だったんでちょっと驚き。そこで新たに出会った盲目の望が「弱法師」の参考になっているみたいですが、音楽つながりで今度は望と葉月の関係が気になる憲人になりそうな予感です。
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憲人の恋愛もなかなか進まんね~^^;『弱法師』から芸の悩みも出てきて、煮詰まってきたところにまたもや?迷子になる憲人、そして新キャラ登場。彼の存在が『弱法師』にどう影響を与えてくるのでしょうか。
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正直、これほどドラマの影響が続くと思っていなかったので、たまに時間軸が混乱(笑) そして憲人さんの藤哉さん化が進んでいる気が(笑) いや、シリアスな場面と云うか、新しいお弟子さんとのシーンとかが多かったりするから仕方ないんですが、ムードメーカー的なおちゃらけた憲人さんも好きなので...
正直、これほどドラマの影響が続くと思っていなかったので、たまに時間軸が混乱(笑) そして憲人さんの藤哉さん化が進んでいる気が(笑) いや、シリアスな場面と云うか、新しいお弟子さんとのシーンとかが多かったりするから仕方ないんですが、ムードメーカー的なおちゃらけた憲人さんも好きなので、ちょっち寂しい…。 でもしっかりもののようでいて、全力体当たりなところと、同じようなループに嵌っているのは変わりないので、らしいなぁ、と。 彼を見ていると強くではないけれど、じわじわと頑張れる力が湧いてくる。 そんな意味で私にとってこの本はマイロングセラーです。 再読ベスト10には確実に入る。
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「能って結構、恋の曲が多いんです」 というあおり帯。 古典系って恋を題材としてものが多いですよね。 作中で、憲人の個人の会が本格始動して新しい生徒さんが増えました。 みなさんきっかけはドラマが多くて、能をほとんど見たことがない。 まぁ、それが今の日本の現状だとは思います。 私も能と狂言、人形浄瑠璃なんかは授業で見に行きましたけど、歌舞伎はない。なかなか個人で見に行くには、環境が整ってないと難しい。 最近では小学校などで古典芸能の授業があったりするらしいです。あと、お茶とかお花とか。 能が「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」されたことに、憲人家族が感想を述べていますが、一概に「よかったねぇ」とならないところがかかわっている人たちの乾燥かと。 さて、恋の歌が多いという煽り文句のわりには、本編の恋愛は全く進展なし? な感じです。葉月さんとは仲良くしてますけれど。 ひょんなことからマッサージ師兼バイオリンにストの望さんと出会う。 盲目である望さんが「弱法師」をする憲人に影響を与えていく~というところで、以下続刊。次が楽しみです。
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