大津波を生き抜く の商品レビュー

田中重好(著者),高橋誠(著者)

2015/04/25

「津波てんでんこ」という伝承から受ける印象とは反対に、津波に対処した人々は、周囲に誰もいない「たった一人の個人」として、この危機に対処しているわけではなく、周囲の人々とコミュニケーションを取りながら、さらに言えば、「ある危機的な雰囲気を共有しながら」対処しているのである。こうした意味で、津波からの避難行為は共同の社会的行為なのである。そして、たまたま「一人でいる」時に津波に遭遇すると、それに巻き込まれる可能性が高まるのは、この反対側の事実である。(p.258)