弱者の吠え方 の商品レビュー
ミスター女子プロレスによる「弱者の吠え方」という事で、精神論的な内容なのかと思いきや、全く違いました。吠え方どころじゃない、戦い方の書です。 「いじめではなく遊びだった」「いじめと自殺の因果関係は認められない」 加害者や学校側にバカな言い逃れをさせないために必要なものは、物的証...
ミスター女子プロレスによる「弱者の吠え方」という事で、精神論的な内容なのかと思いきや、全く違いました。吠え方どころじゃない、戦い方の書です。 「いじめではなく遊びだった」「いじめと自殺の因果関係は認められない」 加害者や学校側にバカな言い逃れをさせないために必要なものは、物的証拠である。その物的証拠(いじめ現場の音声データ、画像データ)の集め方・使い方を具体的にレクチャーしている点が、本書の眼目であると思います。 私個人は、学校側が「いじめに気付かなかった」というケースが絶対にないとは言えないと思うのです(勿論、「気付けなかった」として恥じるべきですが)。 かつて「葬式ごっこ」に笑いながら自身も加担していたという担任教師は誰が見ても異常ですが、多くのいじめ行為は教師の目の届かない場所で行われるはずです。 認識していないのなら認識させればいい。被害者や第三者の証言だけではいじめだと認められないのなら、それ以上の証拠を突きつけてやればいい。その為のICレコーダーなのだ、と著者は言います。 記録しろ。いざとなったら白日の元に晒せ。 いじめを打破する方法としては、これ以上ないくらい生々しく、凄まじい効果があるのではないでしょうか。それこそ、実行するのを躊躇ってしまう程の。 ただ、今現在苦しんでいる子ども達に「本気になればこんな手段だってあるんだよ」と示してあげる事で、一方的に攻撃され続けている自分を見詰める角度が少し変わるかもしれない。 そして、常に優位に立っていると錯覚している加害者側にとっても「遊びでは済まされない事なのだ」と云う警告になり得るかもしれない(『お前ら、こうされたら今の生活なんて一瞬で破滅するんだぞ』(本書63頁))。 教育の内容・システム、教員の資質、学校の在り方等、根本的な解決には恐ろしく時間がかかります。改善に取り組んでいる間にも、被害者の誇りはどんどん傷付けられていきます。理想が実現するのを待ってなどいられない。今すぐ出来る事は何かないのか。 特効薬だけど劇薬。本書からはそのような印象を受けました。
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