石田梅岩の庶民繁栄術 の商品レビュー
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2017/10/02 読了 一つ前に読んだ霊言のお口直しに(笑)こんにちまで、「コンプライアンス」思想の源流みたいなものを作った人の一人、ということ以外に、石田梅岩先生のお名前は詳しくは知らなかった。「心学」なる思想によって、教育勅語に大きな影響を与えた方でもある。 本書のキーワードは「勤倹貯蓄」、もう少し長くいうと「怠惰なキリギリスより、勤勉なアリ」。後者が成功する世の中を、そして皆も後者のようになれと梅岩先生はおっしゃる。 共産主義思想に関して、「国家がばらまくというのは、江戸時代に盗みに入る鼠小僧のようなことを国家がやっているに等しい」として批判。こうなると、助けを待つばかりの者も現れるが、東日本大震災の被災者も「東京大空襲の後だと思って、一からつくりなおすしかないではないか」と激励する。 働かない若者へ、「豊かになる義務がある、神仏から頂いた使命がある」と檄を飛ばす。人口減の問題についても「堕胎を減らす、養子を活用する」などのご意見を賜った。 国家が助けるのではなく、人々が自助努力、相互扶助の精神を持つことが大事であるとおっしゃる。 勤倹貯蓄の思想は、人生計画に及ぶ。基本的に「必要なものにお金を使うが、不要不急なものには使わない」。ただし、将来の計画を見据えて「一部を財産として取り分けて蓄えておく」とアドバイスされた。松下幸之助先生が石田梅岩先生の著作を読んでいたと、「ダム経営」と同じ思想であり、納得。 その他世襲制の是非について、「絶対だめだとは思わない(漁師の家計のように、それを仕事として小さい頃から見ている場合には適性がある場合もあり)」、もっとも、「流動性がなくなるのはよくない」と、柔軟なお考えだ。 前世の詳細は不明だが、ルネサンス期、メディチ家が栄華を極めた時代に、募金を募って教会建築などをした聖職者だと。名前の残っている方かもしれない。 本書を読んでいるとパワーがわいてくる。努力に努力を重ねる、自分に厳しい人間が成功するのだ。 なお、マックスウェーバーが書籍の中で「カルヴァン派」の思想を紹介しており、これも資本主義の原点だ。「神が自分を救うべき人としているか否かは分からないが、努力の結果繁栄したならば、それを証明することができる。努力の結果としての繁栄は、神の栄光をこの世に下ろすことである」と。すばらしい。
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