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空中空 の商品レビュー

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2014/04/26

荷札のつけられた白いトランクが無造作に置かれている。 このトランク、透明感があり、光が通って行く。 その隣には、透明なトランクが2つ、 中に鍵が入っている。 そして奥のアクリルの壁で囲われたスペースにもトランクが。 しかし、このトランクは一部が崩壊している。 これらのトラン...

荷札のつけられた白いトランクが無造作に置かれている。 このトランク、透明感があり、光が通って行く。 その隣には、透明なトランクが2つ、 中に鍵が入っている。 そして奥のアクリルの壁で囲われたスペースにもトランクが。 しかし、このトランクは一部が崩壊している。 これらのトランクはナフタリンでできていて、 少しずつ昇華していく。 昨年の日産アートアワードグランプリを受賞した 宮永愛子さんの作品です。 崩壊したトランク、 どんなに長い旅をしてきたのだろうか、 観る者がそれぞれに物語を創ることができるアート。 その宮永さんの初の作品集が『空中空』、2012年の出版で、 国立国際美術館で開催された同名の展覧会のカタログでもあります。 この作品集でも主役はナフタリン、 ここでは、傘だったり歯ブラシだったりノートだったりと 日常のモノ達がナフタリンで創られていて 一瞬の姿が切り取られている。 そしてこのモノ達をいくつものジグソーバズルのピースが繋いでいる。 ピース一つ一つに、持ち主の物語が刻まれているよう。 撮影された時と同じ姿でいられるのはほんの僅かな時間、 一瞬という時間が貴重であり愛おしいものであることを気づかせてくれる作品集。 それだけに、何度も何度も見返したくなるのです。

Posted byブクログ