カルテルからM&Aへの間奏曲 の商品レビュー
本書は、国際カルテルにより公取や米国司法省の調査を受け、米国での司法取引や法廷証言という珍しい経験をした著者による小説仕立てのドキュメンタリーであるらしい。 司法省の検事による調査や大陪審での証言など、あまり知られていないリーガル情報が生々しく語られていて、とても興味深かった。こ...
本書は、国際カルテルにより公取や米国司法省の調査を受け、米国での司法取引や法廷証言という珍しい経験をした著者による小説仕立てのドキュメンタリーであるらしい。 司法省の検事による調査や大陪審での証言など、あまり知られていないリーガル情報が生々しく語られていて、とても興味深かった。このような著者が経験した事実の重みが本書の魅力の大部分で、実体験かどうかは不明なラブストーリーの方は、それはそれで切なさも感じるが、事実だけでは堅くなりすぎるということで、まあスパイスのようなものか。 日本の繁栄を支えた企業人、経済人として、「競争」に対して懐疑的、否定的な見解を示しているのは、著者の率直な意見なのであろうが、個人的には疑問がある。本書でも、主人公の属する会社がドイツとアメリカの会社を買収して、日米欧で拠点を持つグローバルプレイヤーになろうとしていることが描かれているが、グローバルプレイヤーでありながら、カルテルは違法という世界的ルールに抗しようとしているように見えてしまう。
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