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「朝敵」から見た戊辰戦争 の商品レビュー

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2013/06/17
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桑名藩=無血開城、会津藩=徹底抗戦 鳥羽伏見戦争後、「朝敵」とされた両藩は、 なぜ異なる選択をしたのか? 桑名藩、会津藩の決断が、戊辰戦争の局面 を大きく揺るがすことになった。 一般論として会津藩は同情されることが多い。 京都守護職として天皇や将軍家に忠義を尽くし たものの、慶喜に見捨てられ、恭順も許されず 止むを得ず戦い多大なる犠牲者を出したという イメージか。 本書では、京都所司代を勤めて同じく朝敵とさ れた桑名藩と対比することにより、両藩の命運 を分けたのが何かについて論じている。 本書を読むと、官軍がかなり理性的である事が 解る。従来、会津対長州という対立構造で語ら れる事が多いが、朝敵であっても恭順をした藩 に対しては。寛治を持って処している。 では会津藩に何が足りなかったのか。会津は、 恭順を唱えつつも軍制改革を行い和戦両様の構 えをとった事により、その態度を疑われる。ま た陣地を築き各地へ出兵した。 著者は、評判の悪い世良修蔵についても史料に より世良の本心を明らかにしている。 表向きの発言としては強硬であるが、丁寧に説 明する事により、事態を静謐に取り図ろうとし ているという。 不幸にも世良は暗殺され、会津は恭順する事無 く、戦争は拡大することとなった。 本書は、会津戦争は避けられない悲劇ではなく、 避けられる選択肢があった事を示しており、歴史 を知る上で興味深い。

Posted byブクログ