風の中の自画像 の商品レビュー
これほど、読み手に力量を求める文芸作品に出会うのは久しぶりである。セクシャルマイノリティという、ただでさえ理解の難しいテーマを更に難解なレトリックで武装した15編からなる一冊はまるで、異質なモノは見ざる聴かざるの現代社会に生きる者には分かるはずもないだろうと、言われている気さえす...
これほど、読み手に力量を求める文芸作品に出会うのは久しぶりである。セクシャルマイノリティという、ただでさえ理解の難しいテーマを更に難解なレトリックで武装した15編からなる一冊はまるで、異質なモノは見ざる聴かざるの現代社会に生きる者には分かるはずもないだろうと、言われている気さえする。しかし、堅固な武装につつまれた、何とも脆く危うい自分の心に共鳴するものを感じている事に気づいた時、苛立ちや敗北感さえ憶えてうちのめされる。心は揺さぶられ彼ら彼女らに及ばない自身を直視させられる。もちろん何の事かわからない、つまらない言葉遊びの一冊と感じる方もいるはずである。本書を読む事は、ひょっとするとあなた自身の心に挑む事になるかもしれない。かなり手強い一冊
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