都市・地域エネルギーシステム の商品レビュー
世界各地で“おとなりさん”とエネルギー共有 都市環境分野に興味を持つきっかけとなった本です。国内外問わず様々な地域の都市環境改善への取り組み事例が紹介されており、最先端の地域エネルギー技術を知ることができます。ヨーロッパのように、日本でも行政主導の都市計画規制による低炭素型都...
世界各地で“おとなりさん”とエネルギー共有 都市環境分野に興味を持つきっかけとなった本です。国内外問わず様々な地域の都市環境改善への取り組み事例が紹介されており、最先端の地域エネルギー技術を知ることができます。ヨーロッパのように、日本でも行政主導の都市計画規制による低炭素型都市づくりを行うべきだと感じました。 伊藤 俊介 [shunsuke ito]
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建築・建設系の視点から、地域サーマルグリッドのメリットを説いており、日本、欧州の例も示す。 熱需要が高度に集積しているエリアだけ取り上げるのであれば、サーマルグリッドで熱併給を行うのは、トータルの省エネ・省CO2の観点から意味のあることだし、導管類のインフラ/メンテコストが許容...
建築・建設系の視点から、地域サーマルグリッドのメリットを説いており、日本、欧州の例も示す。 熱需要が高度に集積しているエリアだけ取り上げるのであれば、サーマルグリッドで熱併給を行うのは、トータルの省エネ・省CO2の観点から意味のあることだし、導管類のインフラ/メンテコストが許容できれば、経済的でもあるだろう。そのことに異論はない。 ただし、社会は熱需要が集積している「都市」や「コンビナートコンプレックス」だけで構成されているのではない。そこだけに焦点をあてて開発に目を輝かせるというのは、電気、ガスのユニバーサルサービスの維持という視点とは遊離した世界の話になる。この本の視点は、「都市」の事情しか見えていない。この辺が建築畑の人の限界だと思う。 たまたま条件が整った地域グリッドが、従来の共通ネットワークから独立して自分たちだけでやっていけます!というのは、社会資本のエゴイスティックな毟り取りであり、地方から都市への収奪であり、クリームスキミングである・・・という視点だってある。地産地消などというのが無条件に正しいものであると信じてはいけない。現在進められている電力システムの改革の件も、その議論の多くは家庭用電力の自由化に焦点をあてているが、ひょっとすると「特定供給」や「地域グリッド」をどう扱うのかという論点のほうが本質的かもしれない。小さなグリッドで「平時はうまくやれます」ということと、「非常時は外から助けてもらいます」という話がうまく整合するかどうか、は非常に重要な問題だ。 また、欧州の都市よりも日本の都市は空間的な独立性が小さい。閉鎖型の都市構造ではなく、郊外を通じて隣接都市とゆるやかに連結している構造が多い。都市エリアの中間部分にも電気、熱の重要はたくさんある。それこそ国土と都市の成り立ちが違うのであるから、一様に欧州の地域サーマルグリッドを礼賛するのはおかしいだろう。 さらに言えば、自然エネルギーの話は、とってつけたように書いてあるだけなので、まだ研究の余地が多いようだ。
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