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不平等について の商品レビュー

3.8

12件のお客様レビュー

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2021/11/25

不平等というテーマを非常に簡潔にわかりやすく分析した一冊である。序盤は文学作品の登場人物についての考察もあり、面白さもある。しかし庶民向けの本であり、内容は深くない。 国家間格差と国家内格差についての現状を非常にわかりやすく伝えている。国家間格差ゆえに増加する移民は増加の一途をた...

不平等というテーマを非常に簡潔にわかりやすく分析した一冊である。序盤は文学作品の登場人物についての考察もあり、面白さもある。しかし庶民向けの本であり、内容は深くない。 国家間格差と国家内格差についての現状を非常にわかりやすく伝えている。国家間格差ゆえに増加する移民は増加の一途をたどり非常に深刻な社会問題となっている。ラテンアメリカ、アメリカ、中国とインドの2大国家、アフリカにEU、グローバリズムでの世界格差拡大と9年前に出版された本でありながら、今日の格差についての世界情勢を的確に描写しており、とても発見の多い本だったと感じた。

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2021/01/23

込み入った「不平等」というテーマを大変読み易く纏めているのが素晴らしい。歴史や文学、そして現代的な諸課題を例に出しつつ26のストーリーで様々な考察がなされる。第一章ではもしアンナ・カレーニナがアンナ・ブロンスカヤになったらという仮定で不平等について考えていてとても興味深い。EUや...

込み入った「不平等」というテーマを大変読み易く纏めているのが素晴らしい。歴史や文学、そして現代的な諸課題を例に出しつつ26のストーリーで様々な考察がなされる。第一章ではもしアンナ・カレーニナがアンナ・ブロンスカヤになったらという仮定で不平等について考えていてとても興味深い。EUやアメリカ、アジアなどでどのような地域差があるのかといった視座も示唆に富んでいる。総じて、個人間と国家間で次元の異なる不平等が存在すること、グローバル経済の文脈の中で国家間の不平等が重要視されない傾向があることを軸に話が展開していた。

Posted byブクログ

2018/11/04

世界銀行のエコノミストによる、経済格差について書かれた本。短い紙面の中で歴史を含めた事実を簡潔にまとめ、わかりやすく説明している。参考になる表現が多かった。 「第一の目的は、読者に楽しい読書の時間を過ごしてもらい、読書の喜びを通じて新しい事実を知り、新たな視点から物事を見てもら...

世界銀行のエコノミストによる、経済格差について書かれた本。短い紙面の中で歴史を含めた事実を簡潔にまとめ、わかりやすく説明している。参考になる表現が多かった。 「第一の目的は、読者に楽しい読書の時間を過ごしてもらい、読書の喜びを通じて新しい事実を知り、新たな視点から物事を見てもらうことである」p9 「今日では一般に「80対20の法則」と呼ばれているこの法則によると、20%の人々は結果の80%に責任があり、逆に80%の人々は結果の20%にしか責任がない」p16 「(一次大戦前のブルジョワ)富裕層は貯蓄の「担い手」としても有望な投資家としても、不可欠な存在ではないと思われる。むしろ寄生虫のようなもので、何もしなくても利子で暮らしていけたのだ」p24 「(社会主義)均一化は、より懸命に働き、より多く学ぼうとするインセンティブをすべて、あるいはほとんどすべて奪ってしまう。もちろん、起業家精神など論外だった」p60 「所得の均一化は、個人の生産性を高めるインセンティブをすべて奪い取ってしまう。何の見返りもないなら、より一生懸命働く理由があるだろうか」p60 「不平等の研究は、特に裕福な人々からは歓迎されない。著者はかつて、首都ワシントンの名門シンクタンクの幹部に言われたことがある。シンクタンクの理事会が、所得や富の不平等をテーマに掲げた研究に資金提供する可能性はまずないだろう、と」p84 「1820年頃、英国とオランダは世界で最も裕福な国だったが、当時最も人口が多くて最も貧しかったインドや中国の3倍ほど豊かなだけだった。ところが今日、最も豊かな国と最も貧しい国を比較すると、100対1ほどの比率となる。もはや世界で最も豊かではない英国と、過去30年間にすばらしい経済成長を遂げている中国を比べてみても6対1、つまり2世紀前の2倍にまで差が開いている」p96 「(貧しい国の有利さ)(貧しい国は、)豊かな国々で成熟した技術を貧しい国々は比較的低いコストで取り入れて、必要とあれば模倣し、技術的に追いついていくプロセスを開始することができる。対照的に、豊かな国々は技術的な障壁を新たに突破しなければ成長することはできない。すでにあるものを模倣するのは簡単だが、新たに発明することはより難しい。だから貧しい国々の成長率は、豊かな国々の成長率よりも高いのである」p100 「移民の流入は一般的には反動をもたらす。なぜなら移民流入は受入国の国民の仕事を奪い、賃金を引き下げ、そして何より重大なことに、異なる文化的規範を持ち込むことになると考えられているし、実際にそうなるからだ」p119 「1820年のグローバルな不平等はジニ係数50だったが、1910年は61に上昇し、1950年は64、1992年には66に達した。産業革命以来、グローバルな不平等は常に拡大してきたが、その拡大率は縮小傾向にあった。ところが過去20数年間、不平等は上昇に転じ、極めて高い値を保っている」p146 「世界の人口の1.75%にすぎない最も豊かな人々の所得が、最も貧しい77%の人々の所得と同じである」p148 「(グローバリゼーションのトリレンマ)①グローバリゼーションが継続する ②平均所得の国家間格差が巨大で、かつ拡大する ③労働力の国際間移動が厳しく制限されたままである、これら3つの条件を永久に維持することは不可能である」p150 (「トリレンマ」は、元々ハーバード大学 ダニ・ロドリックが唱えたもの) 「世の中には3つの嘘がある、嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ。(マーク・トウェイン)」p157 「同盟が存続するためには、加盟各国の生活状況に幅広い類似性が存在していなければならない」p169 「国家を最も高い富裕度に至らしめるためには、平和、簡潔な税制、寛容な司法制度、以外はほとんどない(アダム・スミス「国富論」)」p193

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2018/10/20

170114 中央図書館 わずか数年前の本だが、格差の問題は現在さらに注目を集めるようになってきている。

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2016/07/24

人間心理と統計は、不平等論を見誤る。人間心理とはすなわち資本論が典型的な例。人は何に対して平等価値観を持つかを正しく読み切れなかったために、マルクス主義は衰退した。統計については本書の中間層について言及した部分がすべてを語る。すなわち、「粗末な小屋に不衛生な状態で住み、所得は不安...

人間心理と統計は、不平等論を見誤る。人間心理とはすなわち資本論が典型的な例。人は何に対して平等価値観を持つかを正しく読み切れなかったために、マルクス主義は衰退した。統計については本書の中間層について言及した部分がすべてを語る。すなわち、「粗末な小屋に不衛生な状態で住み、所得は不安定で必要最低限の生活をするのがやっと、子どもを学校にやることはできないし、家族に適切な医療サービスを受けさせることもできない。そんな人を、携帯電話を持っているという理由だけで、想像上のグローバルな中間層に分類したところで何の意味もないのである。」まったくその通り。

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2014/10/03

読み応え十分。国と国との不平等、国内の不平等はなぜ解消されないのか、10年前、100年前、1000年前と比べて、格差は小さくなったのか、大きくなったのか。世界の格差はどんなものなのかなど、経済学的解説と、事例紹介を織り交ぜたとても分かりやすい本。「格差是正」とか「我々は99%だ」...

読み応え十分。国と国との不平等、国内の不平等はなぜ解消されないのか、10年前、100年前、1000年前と比べて、格差は小さくなったのか、大きくなったのか。世界の格差はどんなものなのかなど、経済学的解説と、事例紹介を織り交ぜたとても分かりやすい本。「格差是正」とか「我々は99%だ」等の発言についても自分の考えで評価できるようになるとても良い本。「年収は住む所で決まる」を次ぎに読む予定で楽しみ。

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2014/01/17

第1章 不平等な人々―国家内の個人の不平等 第2章 不平等な国々―世界の国家間の不平等 第3章 不平等な世界―世界の市民の不平等

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2013/08/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

-教育の普及は、教育を受けた人材が必要だったことからはじまったのではなく、教育という財を公平に分配することで経済的な不平等に対する市民の圧力を緩和することが目的だった -ユーゴスラビアは構成国間の不平等が原因で崩壊 多くの社会主義国は一般人と上層部との不平等が原因で崩壊 -所得の決定要因の80%が国籍と良心の所得階層 -世界の中間層はかなり少ない 中間層の定義は中央値から25% 世界の中央値は1人1日3.3ドル、2.5-4.1ドルが世界の中間層で、世界の人口の15% (先進国では40%、ラテンアメリカでも20%) 世界の中央値は世界平均所得の29%(先進国では85%、ラテンアメリカでも60%) -EUとアメリカのジニ係数は同じくらいだが、EUの不平等のほとんどが国と国の間の不平等であるのに対し、アメリカの不平等は州内での不平等である。アジアと南米も同様に、アジアの不平等が国と国の間のものであるのに対し南米ではどの国も同じように国内が不平等である。 -ジニ係数の実現可能値はその国の平均収入によって変わる。平均収入が生存可能ギリギリのラインなら最大値は50程度、生存ラインの100倍なら99程度。実現可能値であるジニ係数フロンティアと実際の値を比較すると、植民地では100%が達成されていた例がいくつかある。

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2013/07/16

タイトル通りの本。 国、時代ともに広範囲の話がされており、比較検討の方法も堅苦しくなく書かれていて面白い。 現代の金持ちとかこの金持ちどちらの方がより金持ちといえるだろうか? 富める国の最下層と貧しい国の富裕層は? などといった話をデータで持って語られている。 文中でも書かれて...

タイトル通りの本。 国、時代ともに広範囲の話がされており、比較検討の方法も堅苦しくなく書かれていて面白い。 現代の金持ちとかこの金持ちどちらの方がより金持ちといえるだろうか? 富める国の最下層と貧しい国の富裕層は? などといった話をデータで持って語られている。 文中でも書かれているが、いかんせんデータがない部分が多く安易に比較できない話ではあるのだが…。 第一章、単一のコミュニティ内部における個人間の不平等 第二章、国や民族間の不平等 第三章、世界全ての市民の間に存在する不平等 といった構成。 データでもって細かく見ると思い込みで勘違いすることなくよく理解できると思う。 ただ、言い回しが面白いけどやや煩雑かな。もう少しデータ部分を整理して分かりやすくする方法があれば良いのに。 世界にあふれる不平等がなぜそうなっているのかを考えるにはこの本だけでは物足りないかも。

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2013/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

所得と富 - 経済的不平等を語るときの考え方やデータの捉え方、現代から過去に遡っての比較、グローバリゼーションによる影響等がバランスよく説明されている。平均所得が上昇した場合のジニ係数の理論上最大値を表わす、不平等可能性フロンティアという考え方に納得した。国が豊かになってくると、すなわち平均所得が上昇してくると、不平等になる余裕が出てくる。

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