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宿神(第4巻) の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2013/01/10

第3巻では武士の台頭と清盛の興隆とを描くので主人公たる西行と、そもそものタイトルたる宿神は少々、放置された感があるが、最終巻で平家物語を語り尽くした後にやっと本筋に戻って、やっと宿神の何たるかを語り、そもそもの西行の業の結末までを描き切っている。そもそもの最初の蹴鞠のシーンでけり...

第3巻では武士の台頭と清盛の興隆とを描くので主人公たる西行と、そもそものタイトルたる宿神は少々、放置された感があるが、最終巻で平家物語を語り尽くした後にやっと本筋に戻って、やっと宿神の何たるかを語り、そもそもの西行の業の結末までを描き切っている。そもそもの最初の蹴鞠のシーンでけり上げて落ちてこなかった毬が、最後の最後に落ちてくることにより、西行の生と物語の輪を閉じて終わる見事な結末で余韻深く話が終わるのは秀逸である。そもそも西行という主人公は、余りに歌人として有名ではあるが、その歌人としての著名性とは余りにかけ離れた、返魂の術を使ったという話が際立っている以外、その生い立ちも含め、知見が全くなかったが、歌を詠むという意味と、返魂の術というものをまた、最後に見事に結びつけ、史実と虚実とを違和感なく語り切っている。語りたいことが多すぎて本筋から逸脱する部分もあるが、全4巻、通して読まれることをお勧めしたい。

Posted byブクログ

2012/12/15

願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ~後白河天皇が上皇となり今様に嵌り西行の祖父の寵愛を受けた乙前が召し出され,呼ばれた西行に上皇はアレの話を始める。藤原信頼が上皇の寵愛を受け,危うさを感じる信西が諫めるが,信頼は源義朝を誘い,清盛が一族を引き連れて熊野詣での留守に兵...

願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ~後白河天皇が上皇となり今様に嵌り西行の祖父の寵愛を受けた乙前が召し出され,呼ばれた西行に上皇はアレの話を始める。藤原信頼が上皇の寵愛を受け,危うさを感じる信西が諫めるが,信頼は源義朝を誘い,清盛が一族を引き連れて熊野詣での留守に兵を挙げた。信西は逃げたが,伊豆大島に流された為朝が放った矢によって倒された。熊野から堂々と帰京し六波羅に入った清盛は上皇・天皇に女装させて脱出させ,義朝も信頼も討ち取り,義朝の子は救われた。崇徳院が亡くなり,清盛の娘・徳子が入内し,安徳天皇を生む。文覚は神護寺に入って再建させようと上皇に掛け合って伊豆に流され,頼朝に接近する。清盛は福原遷都を強行するが,南都に騒乱が起こって都に戻る。南都の衆を鎮めるため家に火を放ち,大仏殿も多くの被害者と共に焼いてします。清盛が亡くなり,文覚がもたらした院宣を持った頼朝が兵を挙げる。平氏は壇ノ浦で滅ぼされ,文覚は簡単には死なないと云う。西行は待賢門院璋子を掘り出して高野に運び,生き返らせようと宿神を呼び出す~日本人といえば桜・・・というのは,西行が道筋を作った・・・なるほどね。1500以上の歌を遺したのはよく分かったけど,西行や周辺の人々の異説を一々挙げなくても良いんじゃないかなぁ。学術書じゃないんだけど,突っ込みたい人はいるだろうけど,本に纏める時は削って良いんじゃないでしょうか

Posted byブクログ