鋼の綻び の商品レビュー

相場英雄【著】

2022/09/02

福島原発の犠牲者となった酪農の夫妻を弔う為の金融テロ。政府の杓子定規な規制で放射線の被害の少ない地域も警戒区域に指定されそして原発危機管理不足で多くの住民の生活を犠牲になった。株について知識はゼロなので緊迫感が分からなかったけどどんどん明かされていくテロの実態が謎かけをしながら話が進んでいくので仕事中も気になってしまうぐらいにはまり込んでしまう。

2021/04/20

経済テロの話。日本を代表する企業の株価が一斉に原因不明の大暴落を始めた。

面白かったが、テロは容認できない。
(図書館)

2020/08/25

株や金融システムの知識をもう少しつけてれば、もっと理解ができて楽しめたのだろう。けど、物語が進むにつれてスリリングな展開になっていってハラハラした。福島の原発事故も絡んでくるが、実際当時の東電と政府の対応に納得できず、許せないと思っている人も多いだろう。

2016/12/21

「デフォルト」と同様に弔いが軸となって、新たな骨太の物語が進んでゆく
エンターテイメントとして読み進めているはずが、いつの間にかそれは自らの皮相であることに戸惑い、人間としての根幹を揺さぶられるような重厚な波動に突き動かされる

2015/01/27

福島原発の対応のまずさから故郷を失った男が、日本に金融テロを仕掛ける。何重にも張り巡らせたトラップが仕掛けられた事件。捜査を担当する警察庁の総理秘書官は、このテロを防ぐことは出来るのか。金融テロの内容は証券会社を意図的に破綻させ、大暴落を引き起こすというものだが、小さくて古い一証券を破綻させたくらいではクラッシュにならないと思うけど、ストーリーはまぁまぁ面白く読める。

2014/08/15

日本を揺るがす経済テロの裏に隠された福島原発事故の影の部分。
政府への復讐のために緻密な罠を仕掛けていく矢吹とそれを阻止しようとする警察の攻防が緊迫感ある形で描かれていて読み応えがある作品だった。

2013/10/18

#読了。歌舞伎町での金融ヤクザ殺人事件の捜査中、刑事たちはこの男が巨額な株の売りを画策していることを知る。犯人のターゲットは、総理大臣が出席する東証の大納会での金融テロ。首相秘書官であり、警察庁出身の桐野を中心に捜査の手が伸びるが、その背景には東日本大震災への政府の対応が。。。緊迫感があり良かった。しかしながら、未だ現在進行形で震災対応が片付いていないことを思うと、色々と考えさせられる。

2013/09/12

かなり面白かった。この作家さんは題材にもバラエティーがあるし、いつも緻密な取材をしている。だから何冊か読んだけど既視感がない。
　ちょっと残念なのは、心情的な部分が描き足りないことだ。首謀者の男は親しい女性の復讐で事件を起こす。でもその女性との具体的なエピソードはほとんどなく、彼の怒りも想像の範囲だ。それからせっかくグループで大仕掛けをしているのに、各人のキャラが見えにくいのも勿体ない。比喩表現もちょっとずつポイントが外れていて、せっかくのスピード感に水をさす。その辺り的を得たらきっと大化けするだろうなあ、この作家さん。

2013/07/17

東日本大震災による原発事故、金融機関の破たんの危機（フラッシュ・クラッシュ）などを絡めた推理小説で興味深い話題ではあるが、言い回しが少しわかりにくいように感じた。

2013/05/23

原発避難民を避難民と言ってはいけない。彼らは故郷（くに）を無理矢理追われた「難民」である。借金をローンと言い換えるとマイナスイメージが少なくなる様に「難民」を「避難民」とすることで一時的な緊急避難のイメージを持たせてしまう。かれらはいつ故郷に帰れるか判らない「難民」だ。この本はそれを見事に表現している。