暴力と聖なるもの 新装版 の商品レビュー
原著1972年刊。 引用・言及されることの多い比較的有名な本。読み始めるとすぐに、考え方や語り口の独創性に目眩がする。あまりにも個性的な思考の紡ぎぶりは意表を突いて、しばしば追いつけないものを感じたが、供犠/暴力を巡る主題は非常に興味深く、あっさりとスルーすることはできない。...
原著1972年刊。 引用・言及されることの多い比較的有名な本。読み始めるとすぐに、考え方や語り口の独創性に目眩がする。あまりにも個性的な思考の紡ぎぶりは意表を突いて、しばしば追いつけないものを感じたが、供犠/暴力を巡る主題は非常に興味深く、あっさりとスルーすることはできない。 人間の集団が無限の暴力の反復(復讐の連鎖)を回避し秩序を回復するために実施する、満場一致の聖なる暴力としての供犠。 本書でエウリピデスの『バッコスの信女(バッコイ)』が詳細に論じられるので興味を持ちちくま文庫版『ギリシア悲劇』の該当の巻を読んでみると、確かに『バッコスの信女』は凄まじい物語であり、また、他のエウリピデス作品を読んでみても供犠のテーマがそこらじゅうにあって、こうして人類学の視線でギリシア悲劇を読み直せばかなり興味深いことがわかった。 私は個人的には現在の日本の学校内で起こる「いじめ」なるものを、一種の供犠として・集団社会の自衛的な作用として解読してみたいのだが、本書にはそのヒントとなりそうな部分がたくさんあった。 この重い書物を、いつかまた私は読み返したいと思っている。
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[ 内容 ] ギリシア悲劇、神話、宗教、儀礼等における供犠の意味・役割を解明し、構造人類学・精神分析学を批判的に検討しつつ、我々文明の根底にひそむ「暴力」を抉り出す。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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