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外来語研究の新展開 の商品レビュー

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2013/02/02
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 日本人は、「る」が好きなのがよく分かった。「言葉の西洋化―近代化の中で―」において、外来語に「る」を足している言葉がこの章を書いた米川明彦によると、」古くは明治時代から見られたとある。「ハイカる」、「コンパる」、「バイオる」などだ。答は、順に「ハイカラする」、「コンパする」、「violateから犯すの意味」と、当時の女学生や男子学生が使っていたそうだ。  その後も、「る」を付けた言葉が大量生産されている。たとえば、「ジュネブる」(ジュネーブ会議からくだらぬ会議、相談をする)、「デマる」(デマを飛ばす、扇動する)、「ルンぺる」(ドイツ語ルンペンから浮浪生活をする、失職する)など当時の世相を反映している「る言葉」が見られる。  米川曰く「る」を付けると、日本語化して、意味も俗語のようになってしまうとある。はるばる遠いところから来た言葉も意味が変わりびっくりだ。  外来語を研究することの意義について編者の一人、陣内正敬は次のように述べている。「外国語・外国文化との接触の中で、日本語、日本人、日本文化がどのように変貌していくのか、そしてそのメカニズムは何か、などを明らかにし、その知見を必要なところで有効利用するところにある」としている。使われている外来語の起源や時代背景をたどっていくことで、見えてくることを一冊の本にまとめたのが今回の本だ。  外来語を切り口にした専門的な本だが、興味のある部分だけでもつまみ食いするのもいい。

Posted byブクログ