反絵、触れる、けだもののフラボン の商品レビュー
創作者による芸術論集。また、大野一雄、若林奮、種村季弘、毛利武彦らへのオマージュとレクイエム。ここには死の影が付きまとって消えることがない。絵は生の記憶であるとともに、そこに定位することにおいて死の記録ともなる。そして、エロスはまた本然的にタナトスを内包している。彼女が語る「反絵...
創作者による芸術論集。また、大野一雄、若林奮、種村季弘、毛利武彦らへのオマージュとレクイエム。ここには死の影が付きまとって消えることがない。絵は生の記憶であるとともに、そこに定位することにおいて死の記録ともなる。そして、エロスはまた本然的にタナトスを内包している。彼女が語る「反絵」とは、自分が向かう対象とは常に未知なる関係において対峙することに外ならない。すなわち「みいる」ことは「盲いる」ことなのだ。見ることにおいて記号的なものを排除した時に、突如としてそこに立ち現われる戦慄こそが美への共振たり得るのだ。
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幾つかの偶然と必然に導かれてこの本に出会った、だからこれは自分にとって個人的な宝物。画家・福山知佐子の持つ感受性はあまりにも強過ぎて、皮膚と神経が裏返ってしまったかのよう。それは絶えざる痛みに満ちながらも、野生の動物が本能で薬草の臭いを嗅ぎ分けるかの如く彼女は自分に必要な風景を、...
幾つかの偶然と必然に導かれてこの本に出会った、だからこれは自分にとって個人的な宝物。画家・福山知佐子の持つ感受性はあまりにも強過ぎて、皮膚と神経が裏返ってしまったかのよう。それは絶えざる痛みに満ちながらも、野生の動物が本能で薬草の臭いを嗅ぎ分けるかの如く彼女は自分に必要な風景を、世界を網膜に焼き付け、そして分泌する。彼女の言葉に触れていると芸術というものは真善美なんて評価以前に、私が生きるに足ると思えればそれで十分なのだと気付かさせられる。著者と同じ時代を生きている、ただそれだけで嬉しいのと思えるのだ。
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