伸予 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1978年上半期芥川賞受賞作。5年前に「ぽぷらと軍神」(本書に併録)で文学界新人賞を取っており、新人という感じはない。むしろ、小説を書き馴れた作家という印象だ。ただ、芥川賞の選考委員たちは誰も問題にはしていないのだが、私には15歳の中学生と、女学校を出たばかりの20歳の新任女教師の恋という設定がそもそも肯けない。もっとも、物語の主たる時間はその30年後なのだが。50歳の女性が主人公というのも珍しい設定。彼女の煩悶が小説の主軸になっているのだが、ここでも読者の共感を得るのは難しそうだ。読者像も想定しにくい。
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