ルネサンスとは何か。 の商品レビュー
ルネサンスというとまず思い浮かぶのはフィレンツェですが、いかんせん芸術家の数が多すぎる!ルネサンスといえばビッグネームの名はすぐに浮かんでくるものの、他にもたくさんの芸術家がいます。正直、あまりに数が多すぎてどう見ていけばいいのか、誰がどんな流れで作品を作ったのか混乱してしまいま...
ルネサンスというとまず思い浮かぶのはフィレンツェですが、いかんせん芸術家の数が多すぎる!ルネサンスといえばビッグネームの名はすぐに浮かんでくるものの、他にもたくさんの芸術家がいます。正直、あまりに数が多すぎてどう見ていけばいいのか、誰がどんな流れで作品を作ったのか混乱してしまいます。 そんなややこしいルネサンス美術ではありますが、この『PenBOOKS ルネサンスとは何か』では歴史の流れに沿ってそれぞれの名画をわかりやすく解説してくれます。図版も非常に充実していますのでビジュアル的にも非常にイメージしやすいです。 そして個人的に一番ありがたいなと思ったのが、本書で紹介されている作品をどこで観ることができるのかというのを地図上で一覧にして紹介してくれている点です。 ローマ、ヨーロッパ・アメリカ、フィレンツェ、ベネチアの4つの地図が掲載されていて、これがあれば現地での鑑賞に役立つこと間違いなしです。イタリア旅行に行かれる方にぜひおすすめしたい入門書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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借りたもの。 ルネサンスで起こったこと、その経緯と学問上の発展・復興が美術に投影された事を順を追って説明している。 小ぶりなムック本と侮っていたが、三大巨匠に影響を与えた、ルネサンスに活躍した同時代の画家たちとその作品がきちんと紹介されている。 戦争によって動いた、ヒト・モノ・...
借りたもの。 ルネサンスで起こったこと、その経緯と学問上の発展・復興が美術に投影された事を順を追って説明している。 小ぶりなムック本と侮っていたが、三大巨匠に影響を与えた、ルネサンスに活躍した同時代の画家たちとその作品がきちんと紹介されている。 戦争によって動いた、ヒト・モノ・カネの動きがルネサンスを生んだ。 十字軍派兵がヴェネツァ商人に富をもたらし、フィレンツェの金融業を発展させメディチ家がパトロンになったこと。東ローマ帝国から亡命してきた人々によって知識がもたらされた経緯。 それが絵画の主題にも影響している。《トビアスと天使》がもてはやされたのも、金融や物流の保証が商家に委ねられているので、同行する旅路の安全を祈っての、思いが込められていた…など。 都市の発展と都市に生きる人々の価値観が、美術に反映されている……決して画家一人の主観で成り立っている訳ではない。
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友人から貸借。 メトロポリタン美術館展の予習として。 やや難しいところも多いけど、美しい作品と共に、歴史や風俗なども知ることができた。
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ルネサンスの勃興はいくつかの要因に拠る 当時イタリアの国々を実質支配していた「大アルテ」 産業組合のグループは徐々にに力を増し、自治都市国家「コムーネ」が出来上がる。この擬似共和制の独立国家は中世とは異なる社会構造であったため手本が求められた。それが、古代ギリシャのポリスあり...
ルネサンスの勃興はいくつかの要因に拠る 当時イタリアの国々を実質支配していた「大アルテ」 産業組合のグループは徐々にに力を増し、自治都市国家「コムーネ」が出来上がる。この擬似共和制の独立国家は中世とは異なる社会構造であったため手本が求められた。それが、古代ギリシャのポリスあり、共和制ローマである。しかし、強固なキリスト教世界に、多神教文化を取り入れることは至難の技であった。「多神教文化を一神教の文脈に置き直す」(新プラトン主義)は、ルネサンスの目的であった。メディチ家の強力な支援や、油彩画、遠近法、解剖学などの発達は、画家たちに数多の傑作を描かせる。中世との決別を図り、画家は人間のモデルを使って神の姿を描いた。モデルがあるのだから、ルネサンス美術の特徴である感情表現と人体把握が飛躍的に進歩したのは当然といえる。加えて、画家はそれら人物を現実の延長上の空間に描き出す手段として、「遠近法」の研究に腐心した。画家自らが自信をもって作品にサインするようになったのもこの時代である。 ルネサンスの終焉もまた、いくつかの要因に拠る コムーネはイタリア半島に群雄割拠の時代をもたらした。傭兵を雇う軍事費を節約するための、彼らは外部のプロフェッショナルを雇うことにしたが、それは大失態であった。傭兵たちは、当然ながら金のために寝返ることもあれば、故意に戦いを長引かせることもあった。こうして、軍事費がコムーネの財政を圧迫し、ついには、絶対王政のもと攻めてきたフランス軍にイタリアは完敗する。宗教改革なども重なり、10分の1税による収入が減ったことも大打撃であった。また、新航路の発見は地中海から大西洋に移り、イタリア国内に安価な輸入品が横行した。誰のにもイタリアの斜陽は明白だったのである。そんななか、先見の明をもつフランス国王はダヴィンチをはじめ、著名な芸術家を自らの宮廷に招いた。「モナ・リザ」がルーヴル美術館にあるのもこのような政治状況の結果と言える。ルネサンス以後、フランスがヨーロッパ美術の中心に躍り出たのである。
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