恋スル古事記 の商品レビュー
古事記の中でも代表的な5つの物語を、神々の恋にスポットを当ててやさしく描いた一冊。近藤ようこ先生の描く美しい女神、凛々しい男神の魅力的なこと!もっと読みたい。
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恋をテーマに、『古事記』のなかの5つの物語を選んでマンガ化。各篇のあとに、「ちょこっと解説」が挿入されて理解を助ける。 (1)黄泉津比良坂(よもつひらさか):イザナキとイザナミ (2)オオナムジの冒険:オオナムジとスセリヒメ (3)綿津見(わたつみ)の魚鱗(いろこ)の宮:ヤマサチ...
恋をテーマに、『古事記』のなかの5つの物語を選んでマンガ化。各篇のあとに、「ちょこっと解説」が挿入されて理解を助ける。 (1)黄泉津比良坂(よもつひらさか):イザナキとイザナミ (2)オオナムジの冒険:オオナムジとスセリヒメ (3)綿津見(わたつみ)の魚鱗(いろこ)の宮:ヤマサチヒコとトヨタマヒメ (4)稲城(いなき)の火:サホヒコとサホヒメ (5)やまとをぐな:ヤマトタケルとオトタチバナヒメ、ミヤズヒメ 正直なところ、私は著者の絵が好きではない。タッチが粗く、顔の描き分けもほとんどないからだ。 しかし、俯いてぽろりと涙を流す表情がいい。『五色の舟』もそうだが、悲哀のある儚い物語がよく似合う。 どれも有名な話なので、『古事記』を読んだことがなくてもすっと読めるだろう。 私は一応『古事記』を通読したものの、(4)は記憶に残っていなかった。悲愴な話で、サホヒメの表情に悲しみや決意がよく表われていて胸を打った。 (1)といい(3)といい、昔話でもおなじみのパターンだが、男が約束を破って女の正体を見てしまう話にはため息が出る。どの物語でも、女性の方が聡明で芯が強いのは現代と共通しているようだ。 私が本書のなかで最も好きな女性は、(5)のオトタチバナヒメ。聡明で、蔭ながらヤマトタケルを支える。「さねさし 相模の小野の 燃ゆる火の 火中(ほなか)に立ちて 問ひし君はも」という和歌が、彼女の奥ゆかしさを引き立てているようだ。ヤマトタケルは他人への共感力を欠くところがあるが、彼女には思い遣りを見せていて、似合いの夫婦だったと思う。
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やさしく、上品な古事記の入り口本です。やわらかい線で浮遊感のある画風で、キャラクターがとっても可愛い。
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古事記のなかの恋愛譚をマンガ化したもの。 シンプルで読みやすかった。 超~初心者には導入本として良いかも。 それなりに古事記を知っている人にはちょっと物足りないかもしれないけれど…。 ちょこっと解説がけっこう奥深い。
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「ぼおるぺん古事記」のような力作と較べてはいけない。 語り口はあっさりしているが、男の単純さと女の情念が描かれる。 しずかな描写をキックボードとして、冷静な仮面の裏側にべっとりと張りついたヘドロのような情念を、読む。
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近藤先生がたしかな知識に基づいてわかりやすくまとめた古事記よりえりすぐった短編集。恋スル、という題名だが古事記入門書として楽しめると思う。近藤先生の漫画は素朴だけど心に迫るものがある。
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古事記初心者向けの入門的漫画。古事記内の「恋」を主軸にした短編形式。まんがの間にはさまれた解説もライトに見せてなかなかさすが。個人的には近藤ようこさんの独特の世界観が好きなので、もっと濃くても嬉しかったかなー。
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『古事記』編纂1300年を記念しての出版だろう。近藤ようこの書き下ろし。古事記から5編の恋の物語が、いつもの軟らかくシンプルなタッチとともに紹介されていて読みやすい。 國學院大學の卒業で、古事記を40年も愛読してきたというだけあって、それぞれの物語の最後に付けられた<ちょこっ...
『古事記』編纂1300年を記念しての出版だろう。近藤ようこの書き下ろし。古事記から5編の恋の物語が、いつもの軟らかくシンプルなタッチとともに紹介されていて読みやすい。 國學院大學の卒業で、古事記を40年も愛読してきたというだけあって、それぞれの物語の最後に付けられた<ちょこっと解説>がなかなか読ませる。 第1編 イザナキとイザナミ:「まぐわい」とは、目を見合わせて愛情を知らせるめくばせが元の意味であることを初めて知る。 第2編 オオナムジとスセリヒメ:「オオナムジ(大国主)」の多くの試練は一人前の大人になるための通過儀礼という解説にも納得。 第3編 ヤマサチヒコとトヨタマヒメ:「異類婚姻譚」で、正体がばれて分かれてしまう結末が多いことについて、折口信夫は、「異郷から嫁いできてその土地になじむことができず、子どもを残して帰っていく母たちを物語化した」と言っているらしいが、説得力のある説だ。 第4編 サホヒコとサホヒメ:サホヒコが妹のサホヒメに向かって「私の衣の紐は誰が解くのか」と最後の別れに際して告げる言葉には、深い意味が隠されていることも分かる。 第5編 ヤマトタケルとオトタチバナヒメ、ミヤズヒメ:月の初めの日を「ついたち」というが、ここでも折口信夫の説が紹介されている。古代において生理中は女が神に召され神に仕える期間であり、巫女の生理が始まる(月が立つ)日が、「つきたち」→「ついたち」となったというのも面白い。(こもっていた月が出始めると言う説が一般的のようだが) 近藤ようこのコミックに導かれて、初歩的な入門は果たせた。そろそろ『古事記』の原典に挑戦するか。
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伊邪那岐と伊邪那美、若き日の大国主命、山幸彦と豊玉毘売、沙本毘古と沙本毘売、そして倭建命の5話。古事記のなかでは馴染みのあるものばかりなのですんなり入っていける。 しかしどれもこれも性に対して明け透け。「まぐわう」とは「目合う」つまり目配せなんだそうだ。目配せがそのまま性交に繋が...
伊邪那岐と伊邪那美、若き日の大国主命、山幸彦と豊玉毘売、沙本毘古と沙本毘売、そして倭建命の5話。古事記のなかでは馴染みのあるものばかりなのですんなり入っていける。 しかしどれもこれも性に対して明け透け。「まぐわう」とは「目合う」つまり目配せなんだそうだ。目配せがそのまま性交に繋がる。駆け引きも余計な手順もすっ飛ばして一気に飛躍する。 伊邪那岐と伊邪那美の「なりなりてなり合わぬところ一処あり」「なりなりてなり余れるとこら一処あり」に至ってはもう露骨すぎて牧歌的ですらある。そんなん面と向かって言われればやることやるほかない。
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恋愛ものが苦手でも大丈夫、構えず読んでほしいです。本好きなら絶対面白いと思います! 古事記に出てくるご夫婦のなれそめや在りようを軸に、読み応えある面白い物語が5編。話間に入る近藤先生の解説ページも楽しく勉強になります。 面白ーい!
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