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ヘンリー・ジェイムズ短編選集 の商品レビュー

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2022/09/27

 1868年から1878年にかけて書かれた、ヘンリー・ジェイムズ初期の短編小説集。  文体はどれも改行が少なく込み入った道筋を縫うようなロジックで、常に意味を考えさせられる。それが文学的な醍醐味でもあって、人間心理の洞察の深さとあいまってすこぶる濃密で充実した読書体験をもたらして...

 1868年から1878年にかけて書かれた、ヘンリー・ジェイムズ初期の短編小説集。  文体はどれも改行が少なく込み入った道筋を縫うようなロジックで、常に意味を考えさせられる。それが文学的な醍醐味でもあって、人間心理の洞察の深さとあいまってすこぶる濃密で充実した読書体験をもたらしてくれる。  話としては、最後の「ロングスタッフ氏の結婚」というものが不思議なストーーリー展開を見せて印象的であり、なかなかに美しい。  読むのにはかなりの「しんどさ」を伴うから、現代の一般的な読者にはやはり受け入れがたいだろう。しかし私には、1冊読み終わってしまうと、もうこの文体と小説世界から離れてしまうのかと名残惜しい気がしてならない。

Posted byブクログ