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夜蜘蛛 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2023/01/15

図書館借り出し 久々の田中慎弥 これはどこまでがフィクションなのか 実際の話なのか 一気読みしてしまった

Posted byブクログ

2014/02/28

ほぼ手紙のこの本。 父の自殺、A氏の自殺、そしてそれらに対する突き離すかのような田中慎弥氏のコメント。正直掴みかねる内容だった。 父の自殺は本当に天皇に殉じただけなのか、A氏は父の自殺をなぜなぞったのか。 多分この本は読んだ直後にすぐ感想を言えない気がする。ある日、ぱっと頭をよぎ...

ほぼ手紙のこの本。 父の自殺、A氏の自殺、そしてそれらに対する突き離すかのような田中慎弥氏のコメント。正直掴みかねる内容だった。 父の自殺は本当に天皇に殉じただけなのか、A氏は父の自殺をなぜなぞったのか。 多分この本は読んだ直後にすぐ感想を言えない気がする。ある日、ぱっと頭をよぎる一冊だと思う。それがいつになるか。

Posted byブクログ

2013/02/23

読み終わってすぐの感想が、「天才だ」。 手紙の形式。 戦争、父、家族、老化。 丁寧で実直だけど、殿方にありがちな面倒くさい所のあるおじいさんが書いてるとしか思えない。 「田中慎弥さんが書いてるんだよね?ね?」と我に帰る感覚に何度も陥る。 「共喰い」でもそうだったのだけれど、...

読み終わってすぐの感想が、「天才だ」。 手紙の形式。 戦争、父、家族、老化。 丁寧で実直だけど、殿方にありがちな面倒くさい所のあるおじいさんが書いてるとしか思えない。 「田中慎弥さんが書いてるんだよね?ね?」と我に帰る感覚に何度も陥る。 「共喰い」でもそうだったのだけれど、空が低くて濃い灰色を感じる。 好きだな。

Posted byブクログ

2013/01/15

図書館で借りた。田中さんの作品は言葉に力がある。今までの作品で一番読みやすかった。足を負傷しながらも戦時を生きながらえた父。彼は昭和天皇崩御の際、自死を選択する。息子であるA氏はその原因を幼いころ発した「お父ちゃんは乃木大将とおんなじだね、すごいねぇ」という言葉にあると信じ、つい...

図書館で借りた。田中さんの作品は言葉に力がある。今までの作品で一番読みやすかった。足を負傷しながらも戦時を生きながらえた父。彼は昭和天皇崩御の際、自死を選択する。息子であるA氏はその原因を幼いころ発した「お父ちゃんは乃木大将とおんなじだね、すごいねぇ」という言葉にあると信じ、ついには彼も自死する。タイトルなっている夜蜘蛛を幼いA氏が殺すか否か迷っていた場面と、生きるか死ぬかのギリギリの緊張感の中で父親が死んだふりをして中国兵をやしすごした場面は生死の選択が他者に委ねられている点において、つながりを感じると同時にとても印象に残った。再読時はこのつながりをもっと読みほぐしたい。

Posted byブクログ

2013/01/20

硬質な文体が重く暗いテーマと相まって深く心に響く。のしかかってくるように言辞がひたひたと迫ってくる心地よさは田中氏ならではのもの。今回は読みやすさもあり痺れるような快感を味わえた。戦争との対峙、父子の相克、家族の中の父の立ち位置、老い、死生について、時間をかけ丁寧に描出されている...

硬質な文体が重く暗いテーマと相まって深く心に響く。のしかかってくるように言辞がひたひたと迫ってくる心地よさは田中氏ならではのもの。今回は読みやすさもあり痺れるような快感を味わえた。戦争との対峙、父子の相克、家族の中の父の立ち位置、老い、死生について、時間をかけ丁寧に描出されている。文体が醸す静謐の中で一つ一つのテーマについてじっくり考察することができた。

Posted byブクログ

2012/12/20

「文学界」で読んだ。 期待値が高すぎたのか、なんとなく消化不良感が残った。 しかし、中盤あたりまでは引き込まれたし、まあ、こんなもんか、という感じで★3つ。 単行本化に際して手が入ったのか否かもちょっと気になるので、また読んでみてもいいかな。

Posted byブクログ

2012/12/09

芥川みたいな手法~自殺をテーマに扱う作家の私に記者を通して体験談を話したいという70代の男性が目の前では語らず,長文の手紙を送ってきた。父親は家業を継ぐために大阪修行後,故郷に帰るが実家を継がず,一度目の出生後に結婚した母の実家の運送会社を手伝い,二度目の出征で重慶手前で待ち伏せ...

芥川みたいな手法~自殺をテーマに扱う作家の私に記者を通して体験談を話したいという70代の男性が目の前では語らず,長文の手紙を送ってきた。父親は家業を継ぐために大阪修行後,故郷に帰るが実家を継がず,一度目の出生後に結婚した母の実家の運送会社を手伝い,二度目の出征で重慶手前で待ち伏せに遭い,部隊は全滅,父も脹ら脛に国民党軍の貫通弾を受け,死んだ振りをして敵兵に手帳を奪われるだけで生還した。三度目の出征は内地で終えた。弟や妹が死に,母が死んで昔語りを始めるようになった時,歌舞伎の話・日露戦争の話・戦争の話が混じり合い,父が乃木大将みたいだと云うと,父も何となく納得したような顔をしている。冷凍装置を販売する会社に勤める私は,父が脳血栓で倒れてから妻・娘との三人暮らしに父を加えるようになったが,父も遠慮があるようで,妻も娘も私も同様だ。孫娘におむつをするように云われ,私に云われるとこれもすんなり受け入れる父であったが,貫通弾を受けた左足が壊死を起こし足首から先を切断することになって,姉が任せてはおけないとしゃしゃり出てきた。病院付属の施設に入って,昭和天皇の容態が悪くなり,呼ばれた私に父はもうすぐお別れだと告げ,天皇の葬儀が行われる日,施設でシーツを裂き,ドアノブで首を吊って死ぬ~読者からの体験談の話を種にしているという手。世代的にずれるので,ちょっと違和感がある。創作なのだろう。こんなに理路整然と書ける人はそうはいない

Posted byブクログ

2012/12/08

「お父ちゃんは乃木大将とおんなじだね」 父が戦争中の思い出を語ったのを聞いた若き日のA氏が何気なくつぶやいた一言.昭和天皇の大喪の礼の朝、自死したA氏の父の遺書にこの一言が書いてあった.淡々と進む話しが最後に重くなる.

Posted byブクログ

2012/12/07

作者によると、純文学だそうだ。私には文学の分類は、よくわからない。ただ、親の老いていく姿、支えることが出来そうもない私の境遇を、読みながら考えることが出来た。

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2012/11/29

久々に純文学作品を読んだ。芥川受賞作品は読んでいないが、なるほど芥川賞作家だなという感じ。 昭和の終わりとともに自死を選んだ父親の戦争体験からその後の人生、老いていく姿を作家にあてた手紙という形にしてつづった小説。本編については目新しいところはないにしろ父親に対する息子の不器用な...

久々に純文学作品を読んだ。芥川受賞作品は読んでいないが、なるほど芥川賞作家だなという感じ。 昭和の終わりとともに自死を選んだ父親の戦争体験からその後の人生、老いていく姿を作家にあてた手紙という形にしてつづった小説。本編については目新しいところはないにしろ父親に対する息子の不器用な気持ちが丁寧に描かれていてなかなかよかった。 ただこの手紙を読んだ作家の感想を最後の部分に載せる必要があったのか。ここは読者にゆだねてもよかったのではないか。この部分に関しては納得できなかった。

Posted byブクログ