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無私の日本人 の商品レビュー

4.3

26件のお客様レビュー

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2019/04/13

穀田十三郎・・・武士にお金を貸し、利子で郷里を潤す、という前代未聞の大事業を八人の同志とともに成し遂げ、貧困にあえぐ仙台藩吉岡宿を救った。 中根東里・・・荻生徂徠に学び、日本随一の儒者になるが、士官せず、極貧生活を送る。万巻の書を読んだ末に掴んだ真理を平易に語り、庶民の心を震わ...

穀田十三郎・・・武士にお金を貸し、利子で郷里を潤す、という前代未聞の大事業を八人の同志とともに成し遂げ、貧困にあえぐ仙台藩吉岡宿を救った。 中根東里・・・荻生徂徠に学び、日本随一の儒者になるが、士官せず、極貧生活を送る。万巻の書を読んだ末に掴んだ真理を平易に語り、庶民の心を震わせた。 太田垣蓮月・・・絶世の美人だったが、不幸な結婚を経て出家。歌を詠み、焼き物を作って過ごした。内線を早く終結させるよう西郷隆盛を諌める歌を送った。 ・・・・ 300年前の、幼児虐待を書き残した東里の文章、涙がこぼれた。 あとがきの一文にいわく・・ 「ほんとうに大きな人間というのは、世間的に偉くならずとも金を設けずとも、ほんの少しでもいい、濁ったものを清らかなほうにかえる浄化の力を宿らせた人である。」

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2018/07/02

知り合いから紹介されて読んだ本。「武士の家計簿」から10年あとに書かれた 史実を下地にした三人の人物評伝。 疲弊するばかりの地域をなんとか踏みとどまらせる為に有志で募った大金を資金需要時の藩に貸してその利息で地域安定に腐心した穀田屋十三郎。 当代随一の儒学者になりながら安定した生...

知り合いから紹介されて読んだ本。「武士の家計簿」から10年あとに書かれた 史実を下地にした三人の人物評伝。 疲弊するばかりの地域をなんとか踏みとどまらせる為に有志で募った大金を資金需要時の藩に貸してその利息で地域安定に腐心した穀田屋十三郎。 当代随一の儒学者になりながら安定した生活を取らず終生貧しい道を歩きながら真理を平易な言葉で語り続けた中根東里。 さる城主の落とし胤として生まれた女性、才色兼備で武道も熟達するが不遇な人生が続いて出家する。のち和歌や書や焼き物に秀でた力を発揮し評判となるが、得た財は全て貧しい他者の為に費やす人生に徹した大田垣蓮月。 映画「殿、利息でござる!」の元になった穀田屋の編はドラマ的には面白いけど、好きなのは蓮月の編だった。

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2018/02/12

私財を投げ打つといっても、ここまでの覚悟で、しかも家族全員や仲間が同じ気持ちでやってくれるとは!こんな話が史実であり、紹介してくれたこの本の作者に感謝します。読んで良かった。

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2017/10/22

「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」3篇のうち、「大田垣蓮月」のみ読了。 ひらがなが多いやわらかい文章で、本文の上品なフォントがよく合っている。 最初の夫・直市との結婚生活のくだりは、自分が同じ立場なら、蓮月とまったく同じように考え同じ決断をしたと共感できるところ。自分が...

「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」3篇のうち、「大田垣蓮月」のみ読了。 ひらがなが多いやわらかい文章で、本文の上品なフォントがよく合っている。 最初の夫・直市との結婚生活のくだりは、自分が同じ立場なら、蓮月とまったく同じように考え同じ決断をしたと共感できるところ。自分が我慢をすることで万事収めようとしたり、放蕩夫でもその孤独さを思いやって見放せなかったり…。 蓮月は心の強い女性だが、その強さを「我慢する」方向から「人に与える」方向へ振り向けたことで、後半生は満たされたものになったように見える。 なぜ、与えられるようになったか? 蓮月は前半生で、夫も子も養父も一人残らず失う。得たものに執着しても、更なる悲しみしか招かないと考えたことだろう。それは不幸な考え方に違いないが、「失うものが何もない」状況まで落ちたからこそ、人に与えられるようになったのではないか。 蓮月の「無私」の根底にあるものは不幸な境遇だと思うので、「よし、私も蓮月を目指そう!」とは思わないし、今は思う必要もないと思う。 しかし、このような人生を生きて、最後には満たされた人がいたと、知ることができてよかった。 1点気になるのは、史実と創作がごちゃまぜに記されている点。再現ドラマを見ているようで感情移入はしやすいが、「どこまでが真実なのか?」という疑念がつきまとう。研究者の書く文章には、どうしても史実どおりの正確さを求めたくなるのだ。 とは言え、世間一般の偉人でなく、清浄な生き方を貫いた一庶民にスポットライトをあててくれたことがうれしい。古文書の中には、光を当てれば現代の標となる人間がまだまだいるだろう。人文科学軽視の悪しき風潮に押されず、研究を続けていただきたいです。

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2017/06/21

映画「殿、利息でござる!」を観て、知った本。 読んでいて胸が熱くなる。 素直に正直に生きたいと思った。 史実と物語が私にとってバランスよく、小説のように楽しく読むことができた。 穀田屋十三郎 中根東理 太田垣蓮月 自分より他人を大切にして生きる 無私の日本人 そこまでし...

映画「殿、利息でござる!」を観て、知った本。 読んでいて胸が熱くなる。 素直に正直に生きたいと思った。 史実と物語が私にとってバランスよく、小説のように楽しく読むことができた。 穀田屋十三郎 中根東理 太田垣蓮月 自分より他人を大切にして生きる 無私の日本人 そこまでしなくても…というほど欲がなく、悲惨な生い立ちや境遇を抱えていても、人として擦れない。(硬い玉のように、苦労すればするほど、心が磨かれて美しくなる) このような人たちがいた、ということに心が動く。 人はどんな場所でも時代でも 心根ひとつでどんな風にも生きられるのだ…と 勇気付けられた。

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2017/04/01

歴史学者の書いた本なのに、歴史小説としてきちんと読める。 公益の心とはなにか、日本人がかつて持っていた(?)ものはなにか、自分だけがよければそれでいいのか。 日本教、先祖そして子孫という長い時間の流れのなかの一地点として自分をとらえるという視点の重要さ。

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2016/11/19

「殿、利息でござる!」の原作を含めた、無名の偉大な日本人3人を扱った実話。 でも、映画になった人以外の2人は、頭でっかちで、特に何もしてないと思うんだけど。。。? 戦国時代好きなので、作者の磯田さんはたまにテレビで見たり、「武士の家計簿」は見たりしていた。お話すると、早口で少...

「殿、利息でござる!」の原作を含めた、無名の偉大な日本人3人を扱った実話。 でも、映画になった人以外の2人は、頭でっかちで、特に何もしてないと思うんだけど。。。? 戦国時代好きなので、作者の磯田さんはたまにテレビで見たり、「武士の家計簿」は見たりしていた。お話すると、早口で少し落ち着かない感じがして意外だったし、「武士の家計簿」はあまり好きではなかった。 でも、穀田屋十三郎の話は書き方も上手で、感動した。読みながら、何度も感動で、胸がきゅーとなった。私たちの祖先の日本人は、本当に素晴らしい。ハーフばっかりがアホなテレビ界を牛耳っているけれど、そろそろ文明開化も終わりの段階でもっと日本人に誇りを持ち、向き合ってもいいと思う。 菅原さんも素晴らしい人なのだが、それが映画でなぜあんななさけない存在になったのか?瑛太が悪いんだろうな。。。

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2016/10/24

「殿、利息でござる!」の映画を見て、本も読んでみた。穀田屋十三郎は映画で知っていたが、中根東里と大田垣蓮月の話しもたいそう興味深かった。特に中根東里には琴線にふれるものがあり、最近は滅多に本を購入しないが、これは手元に置きたい本だと思う。

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2016/10/13

穀田屋十三郎の章は読み物として面白い。筆者の想いの込め方も穏やかで、バランスがよかった。 一方で、あとの2章は筆者の語り書きの様相が強く、且つ、説教じみており、せっかくの題材の良さを活かしきれていない。 全体として、現代において光のあたらない江戸期の偉人に注目し、世に著した点は評...

穀田屋十三郎の章は読み物として面白い。筆者の想いの込め方も穏やかで、バランスがよかった。 一方で、あとの2章は筆者の語り書きの様相が強く、且つ、説教じみており、せっかくの題材の良さを活かしきれていない。 全体として、現代において光のあたらない江戸期の偉人に注目し、世に著した点は評価できる。

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2016/09/17

あえて三人にスポットを当てて、紹介した江戸人の哲学は奥深い。 「清らかすぎて」と思うのは間違いであると感じなければ、著者の伝えたいことが理解できない。 そしてこの国の歴史の中で、そういう大きな人間がいたことを思い近づこうとしなければ、よりよい人格に形成はあり得ないと思う。「先ずは...

あえて三人にスポットを当てて、紹介した江戸人の哲学は奥深い。 「清らかすぎて」と思うのは間違いであると感じなければ、著者の伝えたいことが理解できない。 そしてこの国の歴史の中で、そういう大きな人間がいたことを思い近づこうとしなければ、よりよい人格に形成はあり得ないと思う。「先ずは先人に学べ!」である。 穀田屋十三郎・中根東里・大田垣蓮月

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