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“宗教"の核心 の商品レビュー

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2020/03/12

西田幾多郎と鈴木大拙の思想をテーマにした、著者の講演などをまとめた本です。また付章として「私の師・秋月龍珉の宗教思想について」も収録されています。 秋月龍珉のもとで禅に参究しつつ、同時に平川彰のもとで唯識について学んできた著者は、日本の近代以降の仏教運動の精神と、近代仏教学の双...

西田幾多郎と鈴木大拙の思想をテーマにした、著者の講演などをまとめた本です。また付章として「私の師・秋月龍珉の宗教思想について」も収録されています。 秋月龍珉のもとで禅に参究しつつ、同時に平川彰のもとで唯識について学んできた著者は、日本の近代以降の仏教運動の精神と、近代仏教学の双方の立場に深く通じている研究者といってよいのではないかと思います。そうした立場から著者は、『西田幾多郎と仏教―禅と真宗の根底を究める』(2002年、大東出版社)および『西田幾多郎と鈴木大拙―その魂の交流に聴く』(2004年、大東出版社)を刊行しており、その生涯を禅の実践にささげた大拙と、哲学の道へと進んだ西田に共通する思想について論じています。ただしそれらの研究書は、本書の「あとがき」で著者自身が「やや煩瑣なものとなったようにも思う」と述べているように、専門的な議論に傾いており、一般の読者にとってはやや敷居が高いようにも感じられます。 著者の講演をもとにしている本書では、もうすこし親しみやすい議論がなされているのではないかと期待していたのですが、とくに西田哲学にかんする議論では、難解な西田の文章が羅列されているようなところもあって、かならずしも理解しやすいとはいいがたいように感じられました。あるいは、西田自身に語らせるという意図もあったのかもしれませんが、個人的には著者自身のことばでパラフレーズして、その要点を指し示してほしかったように思います。

Posted byブクログ