墨子 の商品レビュー
図書館で借りた。 墨子としては2冊目。1冊目は中公クラシックスで、今回はちくま学芸文庫。 こちらは翻訳文のみで、最後に解説が付いている構成。中公~版は書き下し文と訳文だったので、こちらはかなりスッキリした構成になっている印象。ただ、これで理解が進むかというと、それはまた別問題。 ...
図書館で借りた。 墨子としては2冊目。1冊目は中公クラシックスで、今回はちくま学芸文庫。 こちらは翻訳文のみで、最後に解説が付いている構成。中公~版は書き下し文と訳文だったので、こちらはかなりスッキリした構成になっている印象。ただ、これで理解が進むかというと、それはまた別問題。 私は中公クラシックス版や、他の解説文書などで知識の下積みがあるが、所見で訳文のみだとちょっと厳しいかもしれない。
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墨子の思想を極力簡潔に分かりやすい現代語で綴っている。 やはり中核思想は、兼愛と非攻。兼愛は、身内を大切にする別愛の反対語で言わば人類愛。兼愛でないと乱が起こるとする。非攻はまさに専守防衛。人1人を殺せば犯罪なのに他国を攻めるのは栄誉というのはおかしいということ。ここから発展し...
墨子の思想を極力簡潔に分かりやすい現代語で綴っている。 やはり中核思想は、兼愛と非攻。兼愛は、身内を大切にする別愛の反対語で言わば人類愛。兼愛でないと乱が起こるとする。非攻はまさに専守防衛。人1人を殺せば犯罪なのに他国を攻めるのは栄誉というのはおかしいということ。ここから発展して、墨家は、防衛戦のプロとなっていった。 また、運命論を非難し、努力で変えられることを主張。ある種のプロテスタンティズムでより良い世界のためにしっかり働こうということに繋がる。また、節約や喪に服す期間を最低限とすることも主張。この辺りは儒学と大いに異なる。 また、天の存在を信じ、その意思を具体的に人間に伝えるものとして鬼神の存在に触れている。この辺りは、日本の神話の八百万の神と発想が似ているかなと思った。 また、儒学を批判しているが、的を射ているように見えた。支配者の論理としては、儒学の方が治めやすいが、墨子は本質をついていると思う。 以上がよく理解できた良書であった。
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