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御田八幡絵巻 の商品レビュー

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2012/11/22

著者との貴重な出会いに恵まれて頂いた本。 1950年前後の東京三田界隈、 著者の子どものころの体験が、小さな物語として、いくつもつづられている。 恐れずに書くと、大好きな映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界の随筆版と取れなくもない。 ただ、その映画の様な、過剰な演出やCG...

著者との貴重な出会いに恵まれて頂いた本。 1950年前後の東京三田界隈、 著者の子どものころの体験が、小さな物語として、いくつもつづられている。 恐れずに書くと、大好きな映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界の随筆版と取れなくもない。 ただ、その映画の様な、過剰な演出やCGによる煌びやかな街並みの再現はなく、 派手さのない、シンプルだけれども、丹念に紡がれた言葉が、短い物語として幾重にも重なっている。 一つ一つの言葉や行間から、匂い立つ文章。 町の様子が躍動感を持って浮かび上がる文章。 二次元の紙に書かれた文字の連なりで、 これほど立体的な表現ができる物なのかと驚かされる。 表紙を閉じても、物語の登場人物たちの鼓動が脈打ち、本から飛び出してくる様な感覚に襲われる。 こういう文章を芸術というのだと思う。

Posted byブクログ