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外国人市民がもたらす異文化間リテラシー の商品レビュー

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2013/06/25

「外国人市民」として、日本で育っていく子どもたち。彼・彼女たちが持つ「異なり」は、同化を重視する日本社会で、しばしば「劣位」であることとして経験されてしまう。これに対し、ドキュメンタリー制作やコミュニティラジオのパーソナリティなどを通して、子どもたちの自己表現を支援する場に、著者...

「外国人市民」として、日本で育っていく子どもたち。彼・彼女たちが持つ「異なり」は、同化を重視する日本社会で、しばしば「劣位」であることとして経験されてしまう。これに対し、ドキュメンタリー制作やコミュニティラジオのパーソナリティなどを通して、子どもたちの自己表現を支援する場に、著者は自分自身も関与しながら調査を行い、この「異なり」が豊かさとして外国人市民の若者たちを育てていくとともに、地域社会を豊かなものとしていく様を丁寧に描き出している。 調査方法やこれまでの先行する議論をきちんと提示して書かれた本書は、まぎれもなく専門書なのだけれど、読んでいてすごく勇気づけられる本なのだ。電車の中で読みながら、思わず涙ぐんでしまうような、でも涙で終わらずに、自分もがんばろう、と思ってしまうような。 「異なり」におびえているのは、外国人市民ばかりではない。同じ経験ということはできないけれど、マジョリティである日本人たちも、やはり「異なること」=「劣位」とされることから逃れようとしている。この本に描かれている言葉たちは、たぶんそんな日本人マジョリティにも届くと思った。

Posted byブクログ