大阪アースダイバー の商品レビュー
大阪では力の強い場所を探ると必ず差別に関わる微妙な問題に触れるから隠すことで現す、ストレートに書いているようで実は隠しているというデリケートな文体が必要だった、というのが興味深かった。これが内容の腑に落ちない部分をつくっている部分もあると思う。
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帯表 大阪こそが、真性の都市である。 帯裏 大阪では「東西」の軸が、ほかの都市にみられない大きな意味をもってきた。東西の軸は太陽の動く方向であり、この軸を基にして設計された大阪は、都市思想の土台に一種の「自然思想」が据えられていることになる。京都のような観念論的に設計された都市で...
帯表 大阪こそが、真性の都市である。 帯裏 大阪では「東西」の軸が、ほかの都市にみられない大きな意味をもってきた。東西の軸は太陽の動く方向であり、この軸を基にして設計された大阪は、都市思想の土台に一種の「自然思想」が据えられていることになる。京都のような観念論的に設計された都市でもなく、東京のような権力思想を表現した都市でもない。大阪は古代人のような自然なおおらかさをもってつくられ、人間の野生が都市の構造に組み込まれている。(略)私は四十年も前の自分が直観した、大阪の東西方向を走るその見えない軸に、「ディオニュソス軸」という新しい名前をあたえることによって、この大阪アースダイバーの仕事を始めることにした。とうざーい。私はいまの大阪の人たちも知らなくなってしまった深層の大阪を、この軸上に出現させようといている。(「プロローグ」より)
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おもしろかった! 今度ミナミに行くときには、今までとはちょっと違った目で周囲の風景が見られそうだ。 それにしても、大阪はDeepだ!
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大阪市東住吉区で生まれ育った私には、とても説得力のある分析だった。筆者の大阪へのシンパシーと造詣の深さがひしひしと感じられた。あとがきの指摘も全く同感。今、大阪は歴史と伝統文化の重みを理解しない某為政者の、学歴では測れない教養と品性の欠如に振り回されがちである。しかし大阪人は賢明...
大阪市東住吉区で生まれ育った私には、とても説得力のある分析だった。筆者の大阪へのシンパシーと造詣の深さがひしひしと感じられた。あとがきの指摘も全く同感。今、大阪は歴史と伝統文化の重みを理解しない某為政者の、学歴では測れない教養と品性の欠如に振り回されがちである。しかし大阪人は賢明にも違和感を感じ始めている。
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「縁(有縁)」と「無縁」という観点から商人の社会とそれ以外の権力社会(大名を頂点にした農耕、封建社会など)をとらえるとスッキリ。大阪に行ったときの違和感のようなものが中沢新一さんのアースダイビングのテクニックで爽快にとき明かされていて目から鱗。想像力で補完されているところが多いか...
「縁(有縁)」と「無縁」という観点から商人の社会とそれ以外の権力社会(大名を頂点にした農耕、封建社会など)をとらえるとスッキリ。大阪に行ったときの違和感のようなものが中沢新一さんのアースダイビングのテクニックで爽快にとき明かされていて目から鱗。想像力で補完されているところが多いから[「アースダイバーの推論」p215など]、魅力的で説得力があっても冷静に読む必要はある。もちろんみんなができるアースダイビングの、中沢さんが大阪にしたらこうですよという一例だ。 個人的には「死(墓地)」と「セックス」が都市のつくりで密接に結びつく縁があることに前作から惹かれ続けている[p128]。理屈で言われ続けてきてはいるが、地図で、また実地で確認できるのはとても強い。アナロジーではないのだ。 今回は墓地に加えて、まさに大阪らしいイメージの「笑い」も実は死者の埋葬のときにおこなわれた「笑の儀式」[p57]に関係するという。なんばグランド花月の場所が墓地や死体を焼く場所に近い[p128]。 また、東西の通りを「デュオニュソス線」と名付ける[p6]ことから始めたり、西洋の概念と積極的に結びつけるのは突飛で滑稽で、別に中沢さんが別の名称を与えればいいのにと思うかもしれないけれど、そこにはやはり意図があるはず(無意識であれ、意識的にであれ)。たとえば、欧米人が読んだときのためとか…。 これは中沢さんのアースダイビングの一例だから、重要なのはこれを参考に私たちもアースダイビングをすることである。おもにそれは地形、地図、そして歴史を参考に(しかしメインはやはり地図をよくみたり、現場を歩くことだろう)個人意識を超えた「集合的無意識」への通路を開く[p294]ことだ。鳥になって。
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『東京アースダイバー』を読んで、『大阪アースダイバー』を読みました。どちらもインパクトの強い内容で、少し違う印象を感じました。 中沢氏のダイブのすごいところは、国生み神話が、淀川河口付近で実際におこった出来事として理解できるというくだり。土地が「成る」という、大阪の特色を改め...
『東京アースダイバー』を読んで、『大阪アースダイバー』を読みました。どちらもインパクトの強い内容で、少し違う印象を感じました。 中沢氏のダイブのすごいところは、国生み神話が、淀川河口付近で実際におこった出来事として理解できるというくだり。土地が「成る」という、大阪の特色を改めて痛感しました。また、「微妙な問題」を避けることなく、違和感なく取り込むという手際にも拍手。
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大阪の住吉で生まれ育った人間として、面白く読めた。 けどそれでも行ったことのない場所もたくさんあって、 まだまだ大阪を知らないなぁと思った。 その昔、朝鮮半島南部から西日本全体にかけてが 一つの文化圏だったという概念は僕にとっては新鮮だった。 でも地理的にも心理的にも感覚的...
大阪の住吉で生まれ育った人間として、面白く読めた。 けどそれでも行ったことのない場所もたくさんあって、 まだまだ大阪を知らないなぁと思った。 その昔、朝鮮半島南部から西日本全体にかけてが 一つの文化圏だったという概念は僕にとっては新鮮だった。 でも地理的にも心理的にも感覚的にそれはよくわかる。 西日本は、心理的には東日本よりも半島や大陸に近い。 そして政治都市ではない大阪は、「市民」の都市だ。 独自の価値観とバイタリティに自信を持っていい。
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東京編よりもっと面白かったかも!最初から読んでいって挫折しそうな場合は「第三部ミナミ浮上」から読むのがオススメ。大阪へ行くのが楽しみでならない。大阪在住の方はもちろん、旅行や出張で大阪へ行く方も是非その前に手にとってもらいたい。東京には持ち得ないそのダイナミズムに触れ、虜になるこ...
東京編よりもっと面白かったかも!最初から読んでいって挫折しそうな場合は「第三部ミナミ浮上」から読むのがオススメ。大阪へ行くのが楽しみでならない。大阪在住の方はもちろん、旅行や出張で大阪へ行く方も是非その前に手にとってもらいたい。東京には持ち得ないそのダイナミズムに触れ、虜になること間違いなし。
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アースダイバー(東京版)とは違う。 奈良の地層が気になる。 上町台地そんな高いっけ?こじつけに思えるところ多いが惹かれる。
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アースダイバーの大阪編。前作と併せて読むと、面白さは倍増される。 大阪という都市は、南北に王の生命力が放射されるアポロン軸で、太陽が動く東西に権力者によらない生と死のディオニュソス軸がある。そのため東西の通りに、別軸の生命のエネルギーが満ち溢れている。 また、ナニワの砂州に育っ...
アースダイバーの大阪編。前作と併せて読むと、面白さは倍増される。 大阪という都市は、南北に王の生命力が放射されるアポロン軸で、太陽が動く東西に権力者によらない生と死のディオニュソス軸がある。そのため東西の通りに、別軸の生命のエネルギーが満ち溢れている。 また、ナニワの砂州に育った商人文化は、血縁を超えて貨幣でやり取りする超無縁社会である。 その他、歴史を紐解き、差別問題、大阪のディープな地区の成り立ちについても切り込んでいく。 東京の権力におもねる都市の成り立ちと、大阪の無縁の原理の上に成り立つ都市では、根底に流れる考え方が違う。感覚的なものだが、それを認識できたことが大きな価値だったと思う。
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