青銅の悲劇 瀕死の王(下) の商品レビュー
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矢吹駆シリーズ外伝、いわば全10作を予定されているシリーズの11番目。 とはいえ12以降も続くと思われる外伝シリーズの1作目、でもあり、「天啓の」シリーズにも接続されるハブ、でもある。 が、作者自身をモデルとした宗像冬樹という学生運動崩れのスノッブな作家が語り手ということもあり、自家中毒っぽくもある。 ****と思われていた人物が実は*****であるという下巻のどんでん返しは確かに巧妙。 そして昭和の終わり=20世紀の終わり=天皇の死といった日本における時間設定には涎が出ても仕方ないところがある。 が、背景の面白さをまったく活かしきれていないのは、事件の詰まらなさ、辛気臭さ、推理の面倒さ。 七面倒臭い「場合分け」なんて、どこに読書の快楽がある? ともかくも、7「煉獄の時」以降、12以降、は文庫化されれば追いたいところ。
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失踪した洋輔の部屋で発見したフロッピーに保存されていた小説『円の悲劇』。ある家族の中での殺人計画を描いた小説。実際に鷹見澤家で起きた事件に酷似した内容。洋輔による殺人計画か?『円の悲劇』を書いた人物を特定しようとする宗像。古井戸の近くで何者かに襲撃され重症を負う隆夫と重体のナディア。宗像の前に現れた本物のナディア。重体のナディアはナディアの従姉妹ヴェロニク。
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すべてにおいて、シリーズ中で見劣りする。 脇役たちによって不完全な材料のなか行われる、延々と続く仮定の検証作業は、本格ファンでさえも魅力を感じないのでは。 犯人もトリックも何ら意外性はない。 ナディアの存在だけがかろうじてのミステリか。 事件が進むにつれ、エラリー・クイーンの名作...
すべてにおいて、シリーズ中で見劣りする。 脇役たちによって不完全な材料のなか行われる、延々と続く仮定の検証作業は、本格ファンでさえも魅力を感じないのでは。 犯人もトリックも何ら意外性はない。 ナディアの存在だけがかろうじてのミステリか。 事件が進むにつれ、エラリー・クイーンの名作が意識されてくる。 何か作者の意図があるのかと意識したが、結末は何ら関係なく、ただの私の思い込みだったようだ。 オイディプス症候群の後に読んで、あまりの格差に不完全燃焼だった。 ミステリとしても思想書としても全く響かなかった。 そもそも矢吹駆が出てこないとなぁ。
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