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湯浅泰雄全集(15) の商品レビュー

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2019/01/12

『身体の宇宙性―東洋と西洋』(1994年、岩波書店)と『宗教経験と身体』(1997年、岩波書店)のほか、7編の論考を収録しています。 著者は、従来の西洋思想において支配的だったいわゆる心身二元論的な発想を克服する道筋を示すことを試みています。そこで、東洋の伝統思想のなかに見いだ...

『身体の宇宙性―東洋と西洋』(1994年、岩波書店)と『宗教経験と身体』(1997年、岩波書店)のほか、7編の論考を収録しています。 著者は、従来の西洋思想において支配的だったいわゆる心身二元論的な発想を克服する道筋を示すことを試みています。そこで、東洋の伝統思想のなかに見いだされる身体論、とりわけ禅や密教、朱子学などに見いだされる発想をとりあげ、それらの意義を現代の視点から明らかにしようとしています。さらに、西洋の思想においても、グノーシス主義や新プラトン主義、あるいはベルクソンやメルロ=ポンティの身体観などを掘り起こすとともに、現代における「気」についての科学的研究なども紹介しながら、精神と身体の相互作用を解明しようとしています。 ユング心理学やニューエイジ・サイエンスなど、危うい議論と見られがちなところへも果敢に乗り込んでいく著者の姿勢には、かならずしも全面的に賛同することはできないのですが、デカルトを「最後の古代哲学者」と位置づけ、「観念的実在性」にかんする議論を古代ギリシア以来の「魂」をめぐる思想史のなかに置きなおす見方など、大きな啓発を受ける議論もありました。

Posted byブクログ