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デカメロン の商品レビュー

3.8

9件のお客様レビュー

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2023/08/25

筆者が心の清らかな若い女性のために書いたとあった通り、恋愛と猥談がてんこ盛りの淑女のための小話集。 貴婦人達が猥談を読んで「オホホ」と軽く手を口に添え、頻りに品よく笑っている光景が目に浮かぶようです。 

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2020/07/30

学生の頃世界史で習ったボッカチオのデカメロン。こんな世俗的な内容とはつゆ知らず、読みやすい現代訳のためかとても面白かった。ダンテの神曲から影響を受けており、のちにペトラルカやチョーサーなどにも影響を与えたとのこと。中世の世界観が面白く、現代の感覚からは突っ込み所が多くもあるが、ス...

学生の頃世界史で習ったボッカチオのデカメロン。こんな世俗的な内容とはつゆ知らず、読みやすい現代訳のためかとても面白かった。ダンテの神曲から影響を受けており、のちにペトラルカやチョーサーなどにも影響を与えたとのこと。中世の世界観が面白く、現代の感覚からは突っ込み所が多くもあるが、スコットランドからアレクサンドリアに至るなど、グローバルな視点に驚かされる。すぐに恋に落ちる貴族たち、ありえない作り話にすぐに騙される人、不倫しといて逆ギレする夫人・・繰り返し感も出てくるが10人が10話を語る短編集なので飽きさせない

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2020/06/17

 イタリアのボッカッチョという人が書いた短編集とでも言えばいいかな。  感染症関連の本をいろいろ探していたら,ある本に『デカメロン』=『十日物語』のことが紹介されていた。なぜだかこの本のタイトルは知っていたが,この本が,感染症(ペスト)と関係があったとは全く知らなかった。  ペ...

 イタリアのボッカッチョという人が書いた短編集とでも言えばいいかな。  感染症関連の本をいろいろ探していたら,ある本に『デカメロン』=『十日物語』のことが紹介されていた。なぜだかこの本のタイトルは知っていたが,この本が,感染症(ペスト)と関係があったとは全く知らなかった。  ペストが蔓延している都市フィレンツェを離れておよそ2哩の小さな丘に立っている御殿で7名の淑女と3名の紳士が集います。そして,1人1日1話ずつ10日間,お話をするのです。それをボッカッチョが記録したという想定になっています。だから,ここには,前後の解説などの他に,10人が10日間で語った100話もの「男女にかかわるお話」が出てきます。男女の話と言えば,2人の間の生業が話題になるのは仕方がないでしょう。ここには,そういうエロスが満載です。禁断の話もあるし,牧師も大変! 人殺しもふつうだし。  当時は,その内容故に賛否両論を呼んだらしいです。  わたしが読んだのは,最初から,4日めの第6話までです。途中で,だんだん面倒くさくなってきたんです(そのうち図書館に返す時間となったんだな(^^;)。  田辺聖子(『ときがたりデカメロン』という文章があるらしい)のように,本書にどんな人間模様が描かれているのかと興味津々に読んでいるならいざ知らず,ただ,単に,男女関係の短編集を読んでいるだけだと,それを100話も読み進めるのは大変です。話の内容自体はおもしろいのですが。  半分ほど読んだ感想ですが,本書の訳文はとっても読みやすいです。たとえば「ついに望月の欠けたること無き至福の境涯に入れたと思った者が,豈はからんや,…」(p.125)なんていう表現があったりして,もう日本の文章を読んでいるようですよ。それも中世あたりの。  他には,脚注がとても親切です。単なる語句の説明だけではなく,なぜそういう風に訳したのかとか,ダンテの『神曲』のパロディだとか,田辺聖子はこう言っているなどという話題も出てきて,興味深いです。  また時間があれば,もう一度借りて読むかな。後ろの解説(これだけでも60ページある。しかも2段組)も読みたいし。それとも,田辺聖子の『ときがたりデカメロン』の方がおもしろいかもな。  とにかく時間がないと読めませんので,またコロナで自粛になったときに続きを読むとしようかな。 

Posted byブクログ

2020/01/10

10日(デカ)間のいくつかのテーマによる短編集。今昔物語集に比せられるほど、幅広い社会階層の話を拾っている。単にキリスト教会批判と思ったが、建前でなく生きる人々をリアルに描いている。メインは男女間の恋愛駆け引き。西鶴の好色物に似る。大坂とフィレンチェの共通する権威にしばられない空...

10日(デカ)間のいくつかのテーマによる短編集。今昔物語集に比せられるほど、幅広い社会階層の話を拾っている。単にキリスト教会批判と思ったが、建前でなく生きる人々をリアルに描いている。メインは男女間の恋愛駆け引き。西鶴の好色物に似る。大坂とフィレンチェの共通する権威にしばられない空気、女性の性欲も肯定している。

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2015/02/17

十人の男女が、一日に各一話。十日間で百話を話す。 --- デカメロンって、おっぱい大きい事かと思った。 元ネタのこれは、真面目な話かと思ったら、意外と猥談集だった。 今昔物語みたいな。

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2013/10/24

【後編6 文芸復興】  ルネサンス期の代表的文学。文芸復興によって呼び戻された人間性の自由の一端をうたう。原理においてはカイン型人生観の始まりである文芸復興であるが、それを必ずしも悪と言ってはいけない。中世の指導精神をカイン・アベルに分けざるをえなかった事情があるので、それぞれが...

【後編6 文芸復興】  ルネサンス期の代表的文学。文芸復興によって呼び戻された人間性の自由の一端をうたう。原理においてはカイン型人生観の始まりである文芸復興であるが、それを必ずしも悪と言ってはいけない。中世の指導精神をカイン・アベルに分けざるをえなかった事情があるので、それぞれが本然の世界を取り戻すために必要な流れであるから。ルネサンスにより科学が進み、人間の自由と権利が回復されていった。それはバランスの問題である。  ところでデカメロンだが、先のも述べたようにルネサンス期の代表的文学である。チョーサーの「カンタベリー物語」、ラブレーの「ガルガンチュア物語」なんかと並ぶものである。著者はボッカッチョ。ここで挙げた物語は内容はほとんど似通っている。あらゆる束縛、教権や貴族制、文化、伝統による精神的、肉体的な束縛を解放しようという、放埓な文学である。  あるところに10人の旅人が同じ宿に集まった。そこでその10人がそれぞれ10話ずつ物語っていくという形式。今で言う「滑らない話」見たいなものだろうか。とにかくその話の中に様々な、現代では特別物珍しくはないことだろうが、当時にすれば破格なエキセントリックな話を面白おかしく薦めるのである。その中には、下剋上あり、不倫あり、生臭坊主あり、守銭奴な僧侶などなど、とにかく俗物がわんさか現れる。そこにおいての価値は、善悪でも愛でもなく、刺激である。眉をしかめたくなるが、それがルネサンス。と言えば偏りすぎだろうけども、確実にその一面を宿した作品である。 ただ、前時代とのつながりを忘れてはいけない。人間の内外の自由を抑圧したものは、中世のキリスト教社会である。ルネサンスを悪というならば、中世のキリスト教暗黒社会は極悪である。教訓として、学ぶことは多い。  最後にE・トレルチの言葉で締めよう。 「ルネサンスとは、徹頭徹尾自己に依存する個人主義であって、万人に共通する自主独立の自我というものを展開することであり、また、地上の事物は天上からの投影であって、無価値だとするような見方からの解放である」

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2013/02/01

ボッカッチョとは俺のことかとボッカチヨいい。ではないけれど、世界的に有名な大作家による大小説を平川祐弘氏の最新訳で読みました。  これは世に多く流布する滑稽風流夢譚のたぐい、たとえばバルザック選手のそれとは中身が決定的に違います。1348年にイタリアのフィレンツェで大流行したコ...

ボッカッチョとは俺のことかとボッカチヨいい。ではないけれど、世界的に有名な大作家による大小説を平川祐弘氏の最新訳で読みました。  これは世に多く流布する滑稽風流夢譚のたぐい、たとえばバルザック選手のそれとは中身が決定的に違います。1348年にイタリアのフィレンツェで大流行したコレラの惨禍を実際に体験し、父親を喪った作者が、その恐ろしさと向き合いつつ、その猛威と命懸けで対抗するために書いた「生き延びるための物語」なのです。  冒頭にその黒死病の恐ろしさが縷々描写されているのですが、人間も動物も生き物のすべてが猛烈な勢いで死んでいく。2匹の豚がコレラに感染した人のぼろ布をひっぱっただけでその場でコロリと死んでいく場面などは、総毛立つほどの迫力です。 郊外に逃げても死骸がうようよ。死を覚悟したボッカッチョが考えたのは、心頭を滅却して現実からの逃避をはかることでした。目前の地獄を括弧に入れて、ヴァーチャルな地上の楽園で7人の淑女と3人の貴公子が10日間で懸命に面白おかしい100の物語を語り継ぐ。その空前にして絶後の途方もない観念的な試みが、異常なまでに生命力に満ち満ちた面白おかしいコントの数々を生んだのです。 そこではどんな良く出来た艶笑譚も、どんない不出来な冒険譚も、めざすところはただひとつ。今生の思いを決死でものがたり、語り尽くすことを通じて幻想の世界の最高位まで登り尽くし、現実の悲惨そのものを顛倒しようというのです。 ほぼ同時代のフィレンツェを生きたダンテが描いた「神曲」が、机上の空論的な地獄の恐ろしさを描くことによって現世の快楽を遮断することを目指したとするなら、ボッカッチョは、今そこにある現実の地獄を梃子にして空想の世界に大きくはばたき、現世的快楽の極点を究めようとしたに違いありません。 ボッカッチョとは俺のことかとボッカチヨいい 蝶人

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2013/01/03

ルネッサンス期の短編集。ペストから逃れ10人が10日間10話ずつ語るという手法を用いているため一話一話は完結している。 ユーモアに富み、神からの解放を謳い(聖職者を嘲りながら)人間臭い様々な話が繰り広げられる。 背景にはペストの流行があり、生きることへの貪欲で前向きな人々の眼差し...

ルネッサンス期の短編集。ペストから逃れ10人が10日間10話ずつ語るという手法を用いているため一話一話は完結している。 ユーモアに富み、神からの解放を謳い(聖職者を嘲りながら)人間臭い様々な話が繰り広げられる。 背景にはペストの流行があり、生きることへの貪欲で前向きな人々の眼差しが感じられる。それが語る時のネタになる、艶っぽい笑い話多数。 クスクス笑いが止まらない箇所も多数。 注釈が丁寧かつ、故意に笑いをさそってるでしょ!というところも。 本の厚さに圧倒されて手に取るのをためらってしまいそうになったけれど、 パラ見して、面白そうなのを拾い読みでも可だと思う。 因みに、表紙の絵は8夜目の5番目の話。『恐い絵』参照。

Posted byブクログ

2012/11/18

【読んだ】「デカメロン」(ジョヴァンニ・ボッカッチョ,平川祐弘/河出書房新社) [ISBN:9784309206042] #図書館日和 当時の生活ぶりを彷彿とさせる名訳。適切に配される註釈も、古典の敷居を低くするのに役立っている。重厚だが、描かれる人間は等身大で親しみやすい。

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