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シークレット・ウォーズ の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2021/04/29

【西側諸国、特にアメリカとイスラエルのリーダーたちが、あの戦争とそれまで重ねられてきた惨めな失敗から学び、イランに対する方法が根本的に間違っていたと気づいてくれることを期待するしかない】(文中より引用) イランやシリア、そしてレバノンのヒズボッラーに対し、イスラエルとアメリカが...

【西側諸国、特にアメリカとイスラエルのリーダーたちが、あの戦争とそれまで重ねられてきた惨めな失敗から学び、イランに対する方法が根本的に間違っていたと気づいてくれることを期待するしかない】(文中より引用) イランやシリア、そしてレバノンのヒズボッラーに対し、イスラエルとアメリカがどのような諜報戦を行ってきたかを詳述した作品。水面下で熾烈すぎるほど熾烈な争いが行われてきたことをつぶさに記録しています。著者は、イスラエルのインテリジェンスに関して第一人者とも言えるロネン・バーグマン。訳者は、中東情勢にも詳しい河合洋一郎。原題は、『The Secret War with Iran: The 30-Year Clandestine Struggle against the World’s Most Dangerous Terrorist Power』。 特にアメリカで根強いイラン脅威論の淵源が奈辺にあるかを考える上で非常に参考になる一冊。中東情勢にある程度慣れ親しんでいないと読み通すのに苦労してしまうかと思いますが、それでも充実すぎるほどに充実した内容になっています。 本当にこの著者の作品にはどれも驚嘆☆5つ

Posted byブクログ

2018/11/04

イスラエル軍事アナリストによる中東裏戦争の実態を記した本。スパイやテロリストの活動記録が克明に書かれている。佐藤優が「この本の情報価値は30億円」と言っているように、日付、人名、金額、品目の数など、記されているデータは詳細で、活動も精緻である。盗聴、暗殺、誘拐、ハイジャック、自爆...

イスラエル軍事アナリストによる中東裏戦争の実態を記した本。スパイやテロリストの活動記録が克明に書かれている。佐藤優が「この本の情報価値は30億円」と言っているように、日付、人名、金額、品目の数など、記されているデータは詳細で、活動も精緻である。盗聴、暗殺、誘拐、ハイジャック、自爆テロ、武器取引など、イラン、シリア、イスラエル、米国をはじめとする諜報など特殊機関による裏の戦争の姿の一端を垣間見ることができた。 「義理の父に、毎日ある時間に私から連絡がなければ、私のアパートに行ってイスラエルと関係した物すべてを処分するように頼んでいた。幸運にも義理の父は頼んでいたとおりのことをしてくれた。(本人はイランに誘拐された)」p63 「イスラエルの国防エスタブリッシュメントは、長年にわたる豊富な経験から、全体主義国家への迅速な兵器と軍事ノウハウの輸出は、国の支配者たちと緊密な関係を作り上げられることを知っていた」p71 「(イイ戦争時)倫理的な問題が議論されたことは一度もなかった。我々の関心にあったのは、とにかくイスラエル製の兵器を売りまくり、それで連中に殺し合いをさせることだった」p71 「(レバノンで活動していたイスラエル情報部隊8つ)シンベト、モサド、軍情報部のユニット504、陸軍レバノン連絡部隊、SLA情報機関、憲兵隊情報部隊、国境警察部隊、警察部隊ヤハロム(お互いが激しく競い合い、連携が取れていなかった)」p112 「米情報機関は、技術力に目を見張るものがあるが、ヒューミントに関しては弱く、イスラエルから絶え間なく送られてくる情報に頼っていた」p123 「(ヒズボラへの援助について)1987年までに、イランの年間資金援助は1億ドルに達していた。石油産油国には小遣い銭のようなものだが、レバノンでは大金だった。ヒズボラを使ってイランは、レバノン政府に代わる教育、文化、厚生、福祉、経済、また軍隊に至るまでのすべてをカバーする社会システムを構築しようとしていた」p124 「人質を何とか解放させるためにアメリカ、イスラエル、そしてイランの間で数えきれぬほどの取引が行われた。イランはイラクとの戦争に兵器を必要としていた。イスラエルは彼らの必要とする兵器のいくつかを提供する用意があった」p168 「80年代と90年代、イランはヨーロッパ諸国から寛容な態度で扱われた。イラン情報機関は、標的が反体制亡命イラン人である限り、ヨーロッパ人たちはイランの暗殺者に厳しい態度を取らないと理解していた。(イラン国内で何千人もが処刑された)」p202 「革命後、ホメイニによって処刑リストに名前の載せられた約500名のうち、200名近くが殺害された。ソ連の恐怖時代にも外国での暗殺がヘッドラインを飾った。しかし、イランのやったことはスケールが違った」p206 「(マグニエーは、)イスラエルに計画中の作戦をかぎつけられたと疑えば、敵に傍受されないように即座に通信手段をすべて変更した。イスラエルのヒズボラの通信を傍受する試みは、マグニエーの予防手段によって幾度となく失敗してきた」p324 「ダマスカスで発生したイマッド・マグニエー暗殺は、どんなに逃げるのがうまい獲物でも、ハンターの側に腕と意思と忍耐力があれば、最後には仕留められる、という警告のメッセージであった」p501 「イラン・ヒズボラとの長期にわたる戦いは、イスラエルとアメリカが中東で直面したどんな敵よりも彼らが高度な能力と強い意志を持っていることを証明した。イランとレバノンのシーア派教徒という新しい敵は、何度もイスラエルと西側諸国の裏をかき、政治、情報収集、そして戦争のすべてにおいて勝利を収めてきた」p504

Posted byブクログ

2018/10/28

【由来】 ・Courrier 2013年2月号で佐藤優のコラム 【期待したもの】 ・ 【要約】 ・ 【ノート】 ・

Posted byブクログ

2013/12/18

すごい本でした。なかなか報道されない情報でシリア内戦やイラン核開発をどう捉えるべきか、西側の考え方が少しわかりました。不案内な地域の話だけにフックがなく読むのに時間がかかってしまいましたが。

Posted byブクログ

2013/03/17

イスラム革命以後、ホエイニ率いるイランは、イスラム革命を全世界に輸出すべく、莫大なオイルマネーを武器にテロ組織を支援し、大量破壊兵器の入手を図ってきた。イランから殲滅することを宣言されたイスラエル、そしてアメリカは、イランと同様の「汚い」手段を用いて戦うことになる。 本書は中東...

イスラム革命以後、ホエイニ率いるイランは、イスラム革命を全世界に輸出すべく、莫大なオイルマネーを武器にテロ組織を支援し、大量破壊兵器の入手を図ってきた。イランから殲滅することを宣言されたイスラエル、そしてアメリカは、イランと同様の「汚い」手段を用いて戦うことになる。 本書は中東を舞台に繰り広げられてきたイランとイスラエルの30年間に渡る秘密戦争を明らかにするノンフィクションだ。佐藤優の「この本の秘密情報には30億円の価値がある!」という煽り文句はちょっと苦笑してしまうが、少なくともこれまでの固定観念が覆されることは間違いないだろう。 旧ソ連は共産主義の輸出をスローガンにしてアメリカと戦い、結局、敗れた訳だが、一方のイランはイスラム革命の輸出に半ば成功していることに驚かされる。PLOやハマスなど、本来であればシーア派であるイランとは対立しているはずのスンニ派の組織も積極的に支援し、第二次レバノン戦争ではイスラエルに手痛いダメージを与えて勝利したヒズボラもイランの出先組織として、テロ組織というよりは完全な軍事組織へと育て上げている。さらにアメリカ国内にテロ組織を創設することさえ成功しているのである。 もちろん、対するイスラエルも善人という訳ではなく、一般人を巻き込む二次被害を考慮しない手段で、テロ組織と戦っている。まさに血を血で洗う抗争である。ちなみに、一般にプロフェッショナルな諜報機関と思われているイスラエルのモサドの様々な失敗を明らかにされている点も興味深い。諜報組織間の対立で防げたはずのテロが防げなかったなどという事例は、まさに9.11に見られたものと同じだ。 アラブの春により、いくつもの中東の独裁政権が倒れたが、その後に成立した政権にイスラム色が強いのも、イランの関与があったせいではないかと本書を読んだ後には、思わず勘繰りたくなってしまった。 本書は西側から見たものだということは留意する必要があるだろう。イランからの視点からはどうなのか、ぜひ知りたいところだ。 本書とCIAの失敗の数々を描いた『CIA秘録』を読み比べてみるのも面白いのではないかと思う(今度やってみよう)。

Posted byブクログ