ふたりの彼女 の商品レビュー
これまでとはちょっと異なるテイスト
これまでは大体において5人くらいの多人数ヒロインで作を重ねてきた作者が、ここで少しばかりその構成というか配置というか、ヒロイン達の役割をこれまで以上に活用した印象を受ける作品である。一応、ヒロインは3人(4人?)登場するものの、隣に引っ越してきた可憐で眉目秀麗な女性(28歳)に一...
これまでは大体において5人くらいの多人数ヒロインで作を重ねてきた作者が、ここで少しばかりその構成というか配置というか、ヒロイン達の役割をこれまで以上に活用した印象を受ける作品である。一応、ヒロインは3人(4人?)登場するものの、隣に引っ越してきた可憐で眉目秀麗な女性(28歳)に一目惚れする大卒4年目(他の記述から24、5歳と推定されるため、飛び級でもしない限り年齢が合わない)の社会人主人公が一直線に恋する物語を基本線として最初から敷いている展開となっている。 ただし、このメインヒロインの設定が独特である。あらすじにある『ふたりの隣人の正体は、双子なのか、それとも…!?』によって、ある程度は推測もできるが、思いのほか大胆な設定を持ち込んでいる。デリケートな問題との見方もあるが、これを受け止め、受け入れる主人公の溢れんばかりの愛情と包容力が瑣末にしてしまう良さがあると言いたい。重くなりがちなところにラヴコメチックな面白さを加味してバランスを取りつつ、ヒロインの哀しい過去と現状を顧みながら、最終的には明るい未来に向けて一歩を踏み出す希望の物語にもなっているのである。タイトルにもあるので「ふたり」とするが、この両極端な性格を併せ持つヒロインと、それに順応していく主人公とのやり取りも自然で心地良い。 こうしたドラマに幅広い官能場面を散りばめているのが本作のさらに良いところで、生娘なメインヒロインだけでも2つの魅力があるのに加え、貪婪な淫猥さを前面に出してくる女医や、無自覚な色気を(良い意味で)能天気に振り撒く5歳年上の幼馴染みが華を添えている。場面も多く、描写もいやらしいが、このサブヒロイン達にもそれぞれ役割が与えられつつ、それでいて出しゃばらない配置になっているので基本線がブレずに話が進む。これにより読んでいてストレスが無い。
DSK
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