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田中一光とデザインの前後左右 の商品レビュー

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2018/11/08

デザインや芸術に携わる者は生活、食事、仕事以外の時間の過ごし方、興味の対象、生きていくすべてにおいて美意識を持った選択の連続で成り立つべき、というのは誰しも思った事はあるだろう。が、実践には中々及ばない。それを本当に体現して生きていた稀有な人物。 読んでいるだけで、憧れてしまっ...

デザインや芸術に携わる者は生活、食事、仕事以外の時間の過ごし方、興味の対象、生きていくすべてにおいて美意識を持った選択の連続で成り立つべき、というのは誰しも思った事はあるだろう。が、実践には中々及ばない。それを本当に体現して生きていた稀有な人物。 読んでいるだけで、憧れてしまった。横尾忠則も大竹伸朗も、みな彼を前にすると緊張しつつ心奪われているようだった。 スタジオの昼食によく作ったというきつね丼ぶりは柚子を入れるのだとか。とても美味しそうにだったので今度試してみたい。優れたデザイナーは、ヨーガンレールさんにしてもそうだが美の意識はどこまでも拡張され、食事にもとても気を遣っている。 ヨーガンレールさんの作品も田中一光の作品も、どちらも独特の空気を纏い、力強くも繊細な精神を感じる。なんとどういう訳か本当にふだんからの美意識が、作品にも自ずと見え隠れしちゃうのだ、と思った。 わたしはkfcが好きな時点で田中一光にはなれないなーと残念に思う。 矛盾せず、一貫し、統一性を持って生きていく事は難しい。一貫する為に、kfcなんてアメリカのファストフードは身体にも社会にも良い貢献は何も無いので、わたしは食べる気がしない。などとピュアな感覚を捻じ曲げて思うのもまた違うと思う。そうすると田中一光の本物ぶりに目を見張ると同時に、真に二流な自己の内面が浮かび上がって来てその事実にちょっと辟易したりするのだった。 しかし、こうでありたかった云々の気持ちも多少は抱えている私なので、kfcにかぶり付く際に心置きなくかぶり付けるかというと、そんな事はない。はじめの一口さえも、多少の背徳感が生じる。そのくせ、時々どうしても食べたくなるのだ。きっと、誤魔化し誤魔化し、そういった矛盾に塗れた人生をやっていくんだろう。出来れば心からオーガニックな暮らし、もしくは、一点の曇りなく、kfc最高ーー!と思ってかぶり付けるような、そんな一貫した人になりたかった。本書を前に沢山の矛盾や一貫しない私が、田中一光と比較する事ではっきりと炙り出された。現実を再確認し、多少絶望しつつも今後もわたしはわたしを不完全な矛盾ばかりの存在として後ろめたい感情を持ちつつも、ぼちぼちやっていく。

Posted byブクログ

2012/10/23

六本木の21_21 design sightでの展示会のパンフレット。企業ロゴを多くてがけ、自分のフォントまで作ってしまった田中一光の仕事量の半端なさに圧倒される一冊。

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