犬とハモニカ の商品レビュー
はじめての江國作品でした。 でも、自分には合わなかったかなあ。もうちょっとわかりやすいオチとか展開でないと、小説として読み切れないみたいだと感じました。 ただ、『寝室』と『ピクニック』についてはおもしろかったです。
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日本語の独特の美しさや、醸し出す心地良い雰囲気が伝わる短編集だと思う。 表題作は何か賞を取ってた。 個人的に好きなのは「寝室」。 不倫中の彼女に捨てられ、家に帰ったとき、妻をやっと正面から見ることができる。絶望に打ちひしがれていた夫は、眠る妻の背中を見て、その甘美に気づき床につ...
日本語の独特の美しさや、醸し出す心地良い雰囲気が伝わる短編集だと思う。 表題作は何か賞を取ってた。 個人的に好きなのは「寝室」。 不倫中の彼女に捨てられ、家に帰ったとき、妻をやっと正面から見ることができる。絶望に打ちひしがれていた夫は、眠る妻の背中を見て、その甘美に気づき床につく。 読み終えてなんとまぁ虫のいい男だ、と思ったものの、この夫婦のこれからはそんなに悪くないんじゃないかとさえ感じた。 それは江國さんにしか出せない物語の空気感だ。
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表題作はあんまり江國さんっぽくなかたような。 「寝室」という作品が読んでてもやもやする内容なのですが、乳白色をイメージするような(?)作品でよかった。
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久々の江國作品であったため期待していましたが、本当に残念。 それぞれに良い短編であるが、なぜこれが一冊に?と思う作品もある。 まあ全体的に感性が一致せず、読んでいるうちに飽きが来てしまった。 非常に残念。 ちなみにアレンテージョですが、折角、ポルトガルまで取材に行ったのならお婆ち...
久々の江國作品であったため期待していましたが、本当に残念。 それぞれに良い短編であるが、なぜこれが一冊に?と思う作品もある。 まあ全体的に感性が一致せず、読んでいるうちに飽きが来てしまった。 非常に残念。 ちなみにアレンテージョですが、折角、ポルトガルまで取材に行ったのならお婆ちゃん達を書けば良かったのにと思うのは私だけでしょうか?
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川端康成文学賞を受賞した表題作など6つの短編集。うち「夕顔」と「アレンテージョ」は他の本で読んでいたので、ちょっと物足りない。「犬とハモニカ」は携帯電話の応答で浮気を見抜くとことか面白いけど、どっちかっていうと森絵都さんぽい感じで、江國さんらしさは薄い気がする。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
久しぶりに江國さん、ようやく最新作に追いついてきた。 表題作『犬とハモニカ』はアメリカから成田へ向かう航空機内と、空港を舞台にしたグランドホテル方式の小説。 国際結婚した娘家族と過ごし帰路についた老婦人、 日本にスキーインストラクターのボランティアに来たアメリカ人青年、 離婚を望む妻とその娘、二人を迎えに成田へ急ぐ夫、などなど。 こういう、作品の発するものと自分の感性がいかに合致するか、あるいはズレを楽しめるかに成否のかかっている小説は、しっくりこなければ何度読んでも考えても一緒である。 小説としての質は高いと思うけれど、この物語が私に与える熱量はイマイチ、ものたりない。 『寝室』(ねたばれ) 長くよい関係の続いていた愛人に突然振られた男は、 愛人との日々を女々しく振り返り喪失感でいっぱいだったのに、 家に帰ったらベッドに横たわる妻に不倫する前には感じなかった新鮮さを覚える、というしょうもない話である。 『おそ夏のゆうぐれ』 チョコレートの懸賞品として書かれた一作。 読み終わってからそれを知るとまた違う味わいが。 なんというか、愛の狂気的な部分を見事に切り取っていると思った。 物語の筋とか文章の質とか、そんなことはもうはやどうでもよくて、 主人公が恋人を愛する気持ちが極限まで高まったとき取った行動がこの物語の価値のすべてだと思う。 こんな読み手を選ぶ物語を懸賞用に書いてしまう江國さんにも、それをOKした森永製菓の寛容さに敬意を。 『ピクニック』 自宅からほど近い公園で頻繁に「ピクニック」を行う夫婦。 しばらくはこんなオチになるとは思わなかった。 下手なホラー小説よりも恐ろしい物語である。 やっぱり他人の思いもよらない価値観や感情というものが、一番恐ろしい。 『夕顔』 源氏物語を現代語訳する競作企画の一編。だからチューイングガムなんて表現も出てくる。 源氏物語はあさきゆめみしすらリタイアした私ですが、有名なエピソードだったこともあり問題なく楽しめた。 江國さんが書いているからか、光源氏のタラシっぷりとダメ男さが際立っている気がする。 本当に最悪な男だ。なんなんだこの男は。 彼がどんな風に描かれているのか他の作品も読みたくなった。 『アレンテージョ』 ポルトガルの田舎町・アレンテージョのコテッジにやってきたゲイカップルの物語。 光源氏もそうだけれど、悪気のないダメ男を書かせたら江國さんは天才的。そして男のダメさを充分理解し、苦しんでいるのに逃げられない恋人の描写もなんともいじらしくて、イライラと同情と少しの羨ましさを感じる。 相変わらず食べ物の描写がすてきだ。 『おそ夏のゆうぐれ』と『ピクニック』が好み。
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受賞作を含む趣が違った6つの短編。美しい言葉で紡がれたお話は最後にちょっとヒヤっとして余韻のある読後感。著者のあとがきに「短編小説を書くことは、いつも旅に似てます」…はい、6つの物語の旅を楽しめました。「寝室」「ピクニック」が特に好き。
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短編6作。 文節が文脈をしならせて鋭い言葉を射てくる。 どの作品も不安がどこかで待ち伏せしていて、痛かった。 迷いや惑いがない人が読んだら、つまんない作品なのかも。
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繊細で味わい深い文章を楽しみながら読みました。あとがきに「短編小説を書くことは旅に似ている」とありましたが、著者の短編小説は旅の途中の孤独で心細い気持ちを思い起こさせます。
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とりたてて何ということもない一風景を切り取っただけなのに、どうしてこんなに瑞々しく澄んだ空気感になるのだろう。ふつうの人たちの、ありふれた日常。短い文章の中で、彼らひとりひとりの個性やこだわりがすっと浮かび上がってきて、懐かしい気持ちになる。-表題作「犬とハモニカ」 「寝室」「...
とりたてて何ということもない一風景を切り取っただけなのに、どうしてこんなに瑞々しく澄んだ空気感になるのだろう。ふつうの人たちの、ありふれた日常。短い文章の中で、彼らひとりひとりの個性やこだわりがすっと浮かび上がってきて、懐かしい気持ちになる。-表題作「犬とハモニカ」 「寝室」「ピクニック」は、美しくて怖い。のどかな日常の淵で、深い狂気や執念が甘い香りを漂わせているような。 「おそ夏のゆうぐれ」タイトルの美しさと、こころもとない頼りなさに、哀しくなる。 どれも、江國ワールドです。
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