現代精神医学のゆくえ の商品レビュー

ナシアガミー【著】,山岸洋,和田央,村井俊哉【訳】

2016/08/07

この本は現在の精神医学では標準と思われている生物心理社会学的モデルに対する批判である。
翻訳本は概して読みにくいが、訳者の腕もあるのだろうが、本書は読みやすく、グイグイと引き込まれるように読んだ。生物心理社会学的モデルは、その折衷主義により何でもありになってしまい、そのために失ったものがあることを自覚すべしといっている。科学に対する謙虚な気持ち、限界を認めることを伝えており、改めて原点を振り返るべき勉強になる書物であった。