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ホームレス障害者 の商品レビュー

3.8

5件のお客様レビュー

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2022/08/13

第2,3章を読んで、ホームレス支援にあたっては物理的な環境よりも、本人が安心して居場所だと思える環境であるか否かが重要だということを感じた。必要なのは、住む場所よりも顔を見て話しができる仲間の存在であり、そこに向けた当事者主権視点からの対話である。 著者が日本基督教団桜本教会伝...

第2,3章を読んで、ホームレス支援にあたっては物理的な環境よりも、本人が安心して居場所だと思える環境であるか否かが重要だということを感じた。必要なのは、住む場所よりも顔を見て話しができる仲間の存在であり、そこに向けた当事者主権視点からの対話である。 著者が日本基督教団桜本教会伝道師ということで、障害の神学的意味について述べられていたのがとても印象的だった。 「障害のある人たちと共に生きる中で、私は彼らが自分から何かを引き出していくことを感じてきた。それは笑顔であったり、優しい気持ちえあったり、一緒に生きる楽しさだったりする。~~障害とは、私たちがそのことを知るための、神からの招きなのではないか」 「「人」という字は、~短い方が長い方を支えている。~~障害は、こうした「本来の人間の姿」へと私たちを招き寄せる呼びかけであり、それに応える応答責任こそが「神の像」ではないかと、私は考える」

Posted byブクログ

2017/08/18

早朝の出勤時間。勤務先への道すがらホームレスを見掛ける ことが多々ある。飲食店から出されたゴミ箱を漁っていたり、 自動販売機の横に置かれた空き缶入れを漁っていたりする。 「朝から見たくないわよ。本当、迷惑。ホームレスなんて自業自得 じゃない」 同じ職場で働くスタッフが言ったこ...

早朝の出勤時間。勤務先への道すがらホームレスを見掛ける ことが多々ある。飲食店から出されたゴミ箱を漁っていたり、 自動販売機の横に置かれた空き缶入れを漁っていたりする。 「朝から見たくないわよ。本当、迷惑。ホームレスなんて自業自得 じゃない」 同じ職場で働くスタッフが言ったことがある。確かに彼らの風体は 気持ちのいいものではないけれど、別に危害を加える訳でなし、 ゴミ箱をごそごそしているのは生きる為。それなのに、どうして そこまで一方的に嫌悪することが出来るのだろうかと思った。 あれは夏だった。子供の頃、1杯の水を求めて我が家の玄関先に 立ったホームレス(あの頃はこんな言葉はなかった)がいた。 言葉が話せなかったのか、身振りで水が欲しいと訴えかける。 慌てて家のなかにいた祖母の元へ走った。彼に対応する祖母の 姿を、恐る恐る覗いていた。一度、台所へ引っ込んだ祖母は手早く いくつかのおにぎりを作り、プラスチックのコップに水をなみなみと 注いで彼に渡した。 何度も頭を下げて、よろよろと去って行く彼の後姿が見えなくなる まで祖母は玄関先に立っていた。「いいかい。怖がっちゃいけない よ。ああいう人も、生きているんだからね」。 祖母は上野の地下道にいた傷痍軍人にも何のためらいもなく 接した。「あの人たち国の為と言われて、ああいう体で帰って 来たのだから」と言って。 この祖母の姿を見て来たのもあるが、私は職場の同僚のような 一方的な嫌悪感を抱くことはない。それでも偏見がまったくない 訳ではない。 路上で生活するいわゆるホームレスのうち、少なくない人が障害を 抱えていると言う。何故、そのような人たちが路上で生活せねば ならなくなったのか。彼らに必要な支援とは何かを綴ったのが 本書である。 著者は教師から牧師へ転身し、神奈川県川崎市の教会で長年に 渡りホームレスの支援を行って来た。教師時代には特殊学級の 担任、盲学校の校長、養護学校の立ち上げを経て同学校の校長 を務めて来た人だけに、障害者支援の在り方に対する考え方も かなり具体的だ。 差別と偏見。それが排除へと繋がって行く。養護学校開校の日の、 地域住民の反対行動。ホームレス支援を始めた教会への抗議 なども赤裸々に記されている。 障害者だとか、健常者だとか、在日外国人だとかいう前に、みんな 同じ人間である。このことを忘れてはいけない。同じ命のあるもの なのだ。 実際に障害を抱える人が、どのようにしてホームレスになったのか の実例もある、全ての人に開かれているべき教会が弱者に対して 閉ざされているのではないかとの教会批判は痛烈だ。 必要なのは同情ではない。共に生きていくと言う考えなんだな。 そこで己の心に問うてみる。偏見をもって見ていないか?人を 見下していないか? 読了後、自問自答が残った。

Posted byブクログ

2014/06/20

この本、橋下市長に是非読んでもらいたいですね。 インクルーシブ教育って知ってますかって聞いてみたいな。 そんなことは百も承知か。 色んな考え方があるのかもしれないけれど、政治家がおおっぴらに弱者を排除する発言をするってどうなの。 私が子供の頃、まだ発達障害なんて言葉なかった時代は...

この本、橋下市長に是非読んでもらいたいですね。 インクルーシブ教育って知ってますかって聞いてみたいな。 そんなことは百も承知か。 色んな考え方があるのかもしれないけれど、政治家がおおっぴらに弱者を排除する発言をするってどうなの。 私が子供の頃、まだ発達障害なんて言葉なかった時代はもっと教師も保護者も社会も鷹揚だった気がするんだけどな。 グローバル化の波で競争力を上げるって弱者を切り捨てるってことなんだろうか。 この本の著者は教師でもあり牧師でもある。 日本における教会のあり方や有名なキリスト教信者に対しても苦言を呈していて、この人は本物だなと思わせる。 本書が宗教家としての立場からの発言に偏りすぎているきらいはあるものの、著者の理念は宗教を超えた所にある。 共に生きること。インクルーシブな社会をつくること。 彼の活動は小さな波かもしれない。 それがいつかは大きな波になって社会全体に広がりますように。

Posted byブクログ

2013/07/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

特別支援学校の教師として、そして川崎市の教会の牧師としてホームレス支援活動に携わってきた人の著書である。その実際の経験として、ホームレスに障害者(知的障害者)が多く、彼らがどのようにホームレスになっていくかを多数の経験事例より解き明かし、著者の筆致もあるが、涙ながらに読んでしまった。「生活そのものを支えるシステムがなければ、生活保護を受けても結局その人の生活は破綻してしまう。障害のある人に対する生活支援をホームレス支援プログラムの中核に据えることこそ、必要不可欠ではないか」と重要な指摘。また著者は教会自体の問題点や、発達障害者支援法ができてからの特別支援教育についての利点も述べるが、欠点についても辛口評価をされ、耳の痛い話であるが大いに共感した。

Posted byブクログ

2013/01/14

以前、図書館の新刊コーナーで見かけ、気になったのでパラパラとめくったのだが、結局借りずにそのまま戻した本書。しばらくして新聞の書評で見て、あれ?どうして借りずに戻したんだっけ、と思い、やっぱり借りて読んでみることにした。 読んでみて、あの時自分が借りなかった訳がわかった。 著者...

以前、図書館の新刊コーナーで見かけ、気になったのでパラパラとめくったのだが、結局借りずにそのまま戻した本書。しばらくして新聞の書評で見て、あれ?どうして借りずに戻したんだっけ、と思い、やっぱり借りて読んでみることにした。 読んでみて、あの時自分が借りなかった訳がわかった。 著者は障害児教育の専門家であり、ホームレス支援活動家であり、牧師でもある。 ホームレスの人々には、何かしらの障害を持っている人の割合が高いというのは最近よく言われていることである。 障害児教育を専門とし、また教会での活動の一環としてホームレス支援を行っている著者はその事実を目の当たりにすることが多く、本書の中でも、実際に師弟として接していてのちにホームレスになってしまった人、教会の支援活動の中で出会った障害を抱えるホームレスの人などの実例が数多く紹介されている。 健常者、障害者の垣根なく、社会全体で弱者を受け入れ支えていくインクルーシブな社会を目指したいという著者の理念は非常に理解できるし、活動自体も素晴らしい。私自身が願っている障害者と社会の在り方の関係性そのままであり、問題視しているところも目指すところも、共感以外の何物でもないのだが…。 実はもっと深い社会学的検証と考察を期待していたのだ。 それが全くないわけではないのだが、だいたい半分くらいは著者の宗教者としての物言いが占めており、「神が救いたもうたのだ」と言われると、どうにも興が削がれるというか違和感というかが拭えない。 決して、反キリスト教論者なわけではないのだが…すみません。 図書館でチラ見をして、あ、こういう方向性か~となんとなく感じて、本を置いた自分を思い出したのでした。

Posted byブクログ