三好十郎(Ⅱ) の商品レビュー
「はじめてハッキリと自分の全体が燃え、同時に甘さをかなぐり捨てて冷たく意志的になり、そして自分自身のために、自分の全人間の本質に密着しつつ書いた」という作者の後書きが、全体を通して痛いほど伝わってくる一冊。淡々とした日常の、時間の波の中に「人間」が剥き出しで存在し、死の瞬間という...
「はじめてハッキリと自分の全体が燃え、同時に甘さをかなぐり捨てて冷たく意志的になり、そして自分自身のために、自分の全人間の本質に密着しつつ書いた」という作者の後書きが、全体を通して痛いほど伝わってくる一冊。淡々とした日常の、時間の波の中に「人間」が剥き出しで存在し、死の瞬間という不可逆な時へと舵を切ってゆく。このスピード感の無さが、生々しく、熱い。久方振りに読書の愉しみを思い出させてくれた。
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