リチャード・ローティ=ポストモダンの魔術師 の商品レビュー
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渡辺幹雄『リチャード・ローティ=ポストモダンの魔術師』講談社学術文庫、読了。文芸評論から言語哲学まで--掴みにくいローティの全貌。本書はロールズ研究の著者が豊穣なローティ哲学と対峙した軌跡であり、日本語によるローティ入門の一冊。99年春秋社刊行絶版著作の言祝ぐべき文庫収録。
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ローティの哲学や政治についての見解を、ロールズとの対比や、ローティが攻撃するフーコーやデリダ、及びその追随者たちの主張と対比させながら、体系的に再構成している。徹底的なプラグマティズムを実践し、ハイデガーを娯楽として享受しながらその政治的愚昧さを非難するローティの態度が、政治的実...
ローティの哲学や政治についての見解を、ロールズとの対比や、ローティが攻撃するフーコーやデリダ、及びその追随者たちの主張と対比させながら、体系的に再構成している。徹底的なプラグマティズムを実践し、ハイデガーを娯楽として享受しながらその政治的愚昧さを非難するローティの態度が、政治的実践と哲学的見解をどうしても一致させたい「プラトニスト」に対する批判としてとてつもなく根本的であることを、歯切れのよい筆致で丁寧に描き出していると思える。大陸系の哲学の価値を信じる人にはぜひ読んでもらいたい一冊。
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