石川初ランドスケール・ブック の商品レビュー
モノを見る視点を、普段と少しでも変えてみる。そのことが、モノ(と、それを取り巻く世界)を把握する(自分に取り込む)一助になるのだ。 宮本常一の「空からの民俗学」(これも視点のスケールを変える本だ!)と同じく、自分のKey Bookになりそうだ。
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この本は、ランド(地上)についてのスケール(捉え方)を地形・地図・時間・環境・庭の5つの章に分けて書かれています。 その中で、特に記憶に残ったものを記したいと思います。 【第2章─地図のスケール】 抽象化・記号化された様々な種類の地図から見えてくる社会、そして生き物の世界とか。 中でも飼い猫の首にGPS受信機を取り付け描かせた”ネコログ”(猫の軌跡マップ)はとても面白い実験だと思いました。。 住宅街に住む猫にとっては、塀の上や屋根づたいなどもれっきとした通り道。まさに都会の獣道なのですね。 【第3章─時間のスケール】 古い写真(例えば若かりし頃の祖父母が写っているもの)を手に持ち、その写真と同じ現在の場所へ行き、その風景に重ねて写真を撮る遊び。 著者は、このような過去と現在への時間の層を眺めるような行為を『時層写真』呼んでいます。 これは、是非やってみたくなりました。 【第5章─庭のスケール】 この章では植物について多くふれていますが、その中でも『消えた植物図鑑』の発想は、どこか物悲しく感じられて好きでなのです。 庭木にも定番と流行りものがあり、かつて玄関先に植えられていたショロやソテツは、もはや在りし日の記憶となりつつあるのですね。 そして『7人の小人問題』! 人様のお庭や玄関先で、たまに見かける例の小人たちの置物。 ちっぽけな彼らが持つ、恐るべき景観破壊力について。 実は私も以前から同じ感想を持っていたので、ここを読んだ時はそりゃ嬉しかったです。 全体を通して、地上に向けられた著者のユニークで詩的な”まなざし”を感じることができました。 フィールドワークの視野が広がる一冊です。 地図好き、地形好き、お散歩好きの人にお薦めです。
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石川さんの声が聞こえてくるような本。独特の着眼と言い回しの妙味を楽しむ。図版もユニークだ。 しかし、ユニークなので、これを読んで、全然ピンとこないけど?という人にどうアプローチすればいいのか、余計なことだけど気になってしまった。
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