アジアの民間信仰と文化交渉 の商品レビュー
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中国の民間信仰にて崇拝され、また移民とともに海外へと渡っていった神々がどのような変容・発展を遂げたのかを紹介した書。異なる地域間での文化の接触・相互変容を扱う文化交渉学の視点から、信仰形態の差異やその変遷を論じる。 本書は、華人を通してアジア各国に伝来した中国の神々がどのような変化を成したのかを比較・解説した本である。本書は二部構成となっており、第一部「日本の寺院における渡来神と文化交渉」では日本に伝来した中国の神々とその本国での姿を、第二部「アジアにおける神々の往来と文化交渉」ではアジア各地の華人コミュニティにおける神々の信仰形態を比較・解説する。 本書の特徴は、関帝や媽祖といったメジャー級の神々ではなく地方のマイナーな神々に焦点を当てているという点である。福建地方の医神・保生大帝や漳州の開拓神・開漳聖王など、華人の故郷にて祀られていた神々が移民先に移された例を数多く取り上げている。中には招宝七郎(大権修利)や祠山張大帝のように、本国では信仰が衰微してしまったものも扱っており、民間信仰の神々が渡来によってどう変容したか、その後どうなったかが一望できる内容となっている。著者自らが現地調査を行った結果も多数収録されており、多種多様な民間信仰の形態を知ることのできる一冊と言える。
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