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生命をめぐる対話 の商品レビュー

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2021/11/07

まだ新型ウィルス禍など全く想像もできなかった頃に「生命の意味論」を読んで興味深かったが、その多田先生と11人との対談集。 ずいぶん前の本だが、ここでも独自の健康論を語っている五木寛之氏はそういえば新型ウィルスにもかからずぴんぴんしている・・・さすがである。 インターネット黎明期に...

まだ新型ウィルス禍など全く想像もできなかった頃に「生命の意味論」を読んで興味深かったが、その多田先生と11人との対談集。 ずいぶん前の本だが、ここでも独自の健康論を語っている五木寛之氏はそういえば新型ウィルスにもかからずぴんぴんしている・・・さすがである。 インターネット黎明期に人間の脳がこの先どうなっていくかをある程度予言している養老先生もさすがである。 お能「無明の井」について語り合っている能楽師橋岡久馬氏との対談が興味深かった。 P15  僕らの周りには、健康に関するハウツウはものすごく多いんですが、病気をどう考えるかというところがちょっと足りない。僕はむしろ、人間は最初から病気なんじゃないかと考えるほうがいいと思っている。死ぬと決められて生まれてくるわけですから。 P28 何か善意のボランティアのようにものすごくシャカリキになって突っ走ってる頑張り細胞が出てきて、頑張りすぎた挙句止まらなくなる。それでブレーキが故障した状態のままで暴走しているのががん細胞なんじゃないかと空想したくなる。きっと助けてくれ!と悲鳴を上げながらそのがん細胞は暴走してるんじゃないか。(五木寛之) P36 お互いの関係の中で自分の位置づけを考えながらやっていくので「超(スーパー)システム」になるわけです。それぞれが主体的に動いていく中からさまざまなダイナミズムが生まれる。それが「超システム」ですね。そして大事なことは、自分たちの内部で鍛えていくと同時に開放的でなければ「超システム」は崩壊するんですね。(井上ひさし) P54 男というのは女の付属物で、女が偶然を決めさせる道具として男を作ったんだという感じがしますね。【中略】ある時オスというものを作り出して、オスを介していろんな偶然を取り込むということを始めたんです。 P79 東京は空気の密度が違う。無機質なものが張りつめているような。それは汚染度じゃないんです。東京の空気には張りがあります。東京という「自己」なんでしょうか。(日野啓三) P88 能は狙いが高いんですよ。「廃墟の美」ですよ。老いた者はいわば人間の廃墟です。盛りのきれいなよい時期を過ぎた、しかしまたその時期を持っていたということですね。見事な時期をもたなければ廃墟になりませんからね。 P93 (「無明の井」の本文を書いた)多田先生が祖父で、(フシつけをした)私が父親、感じてくださる観客が母親で、子供は何かといえばお能を見た後味ということになりましょうかね。(橋岡久馬) P159 人格がだんだん拡散する方向に行くのではないか。もしこのままいけば、二つの極端なタイプの人間ができるのではないか。一方は独座観念型で、もう一方はキーボード拡散型とでも呼ぶんでしょうか。私なんかは独座観念型で、お用を見て帰った後、大酒を飲んでひとりで今見てきた御能のことなんかを孤独に思い出しながら座っているととても楽しい。それにたいして、キーボード拡散型という人間のタイプがあるらしい。これはコンピュータに入ってきた互いに無関係な情報を同時にと取り込んでエンジョイできるようなタイプの人で、ひょっとしたら新しいタイプの脳の発達様式と言えるかもしれない。(養老孟司 P235 ウイロイドというのは、複製するという情報だけがあって中はなにも書いていない。 P243 (人間は)ただ脳だけ進化したのが利口とは言えないのではないかと。非常にプリミティブな形で、三つも四つも意味を持たせるというのがウィルスなんで、ウィルスに学ぶことも考えておいたほうがいい。(畑中正一) P271 アジアの都市はみんな同じですね。上にだけ伸びていくことしか考えていない。【中略】(ヨーロッパの都市は)記憶を保存して具体的にしたということでしょうね。それは伝統と言ってもいいけれど、やはり「記憶」と言ったほうがいい。そこへ行くとアジアの都市は記憶を消そうとしていますね。(青木保)

Posted byブクログ

2013/02/26

免疫の仕組みや超システムを軸に様々な分野の人たちと対話している。科学的な話というよりも、より抽象的な対話をすることで新しい側面を見出そうとしているように思えた。

Posted byブクログ