子どものための美しい国 の商品レビュー
よし、ならば戦争だ、という単細胞っぷり。アホやなぁ、というのは簡単だけど、、 子供の世界に置き換えてはいるものの、結局のところは金、金が欲しければ戦争、という、実に安直な考え方は別に大人だろうと国家だろうと概ね変わらんだろうから、こういう本を読んで馬鹿だなぁこいつと思って大人にな...
よし、ならば戦争だ、という単細胞っぷり。アホやなぁ、というのは簡単だけど、、 子供の世界に置き換えてはいるものの、結局のところは金、金が欲しければ戦争、という、実に安直な考え方は別に大人だろうと国家だろうと概ね変わらんだろうから、こういう本を読んで馬鹿だなぁこいつと思って大人になって思い出してああそういうことだったのかやっと分かった、となるのも良いではないか。 子供だから馬鹿だなぁ、みたいな展開の中に、いちいち補給の大切さを説いてみたり、情報戦を語ったりと、侮れない部分も多く、小生意気な子供を育てるのにも最適か。
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父王の急逝で急きょ即位した少年王マットが子どものための改革を次々に行う物語。動物園をつくり、国中の子どもにチョコレートを配り、子どもの国会を設立、大人を学校に、子どもを仕事に行かせる、など。改革王として活躍したマットだったが、暗躍するスパイと諸外国の思惑により、次第に国は混乱へ...
父王の急逝で急きょ即位した少年王マットが子どものための改革を次々に行う物語。動物園をつくり、国中の子どもにチョコレートを配り、子どもの国会を設立、大人を学校に、子どもを仕事に行かせる、など。改革王として活躍したマットだったが、暗躍するスパイと諸外国の思惑により、次第に国は混乱へ陥る。他国の王が戦争を仕掛け、不利な状況のなか、精一杯戦って、最後の最後に大逆転を賭けた作戦を敢行、あと一歩で成功かと思われた瞬間、大人たちが白旗を挙げて降伏してしまう。 マットは軍事裁判により死罪を命じられたが、各国の王たちの駆け引きのなか、死刑執行の直前に孤島への流罪に減じられたところで物語は終わっている。 「その孤島でマットにどういうことが起こるか、筆者は情報が入りしだい、読者のみなさんにお知らせしようと考えているのである。」という一文が最後の一行だ。 この物語は1923年に世に出たものだそうだ。 そして、どれほど周囲が説得を重ねようとも、愛してやまないユダヤ人孤児たちのそばを離れることを頑なに拒み続け、1942年にコルチャックは子どもたちとともに、トレブリンカの強制収容所のガス室へと消えた。 トレブリンカ送りになるとき、痩せた老人を先頭に整然と並んで進む子どもたちは緑色の旗を持っていたという。 その旗は、20年も前に書かれた物語のなかにも出てくる。世界中の大人たちが共産主義の赤い旗をめぐって、怖れたり、裏切ったり、必死の形相で戦ったりしていたとき、コルチャックの物語のなかでは、子どものための美しい国を作ろうとする少年マットが世界中の子どもたちに緑色の旗を掲げることを訴えかけていたのだ。子どものための美しい国は、本当は大人と子どものための美しい国だ。コルチャックは、世界を真に変えるためには大人と子どもが力を合わせなくてはならないと考えていたのだろう。 最後の瞬間まで、子どもたちの誠実な友達であることを貫いたコルチャックは、マットのように孤島送りになることはなく、ガス室のなかへ消えたが、その物語は今もこうしてよみがえり、平和と贅沢のうちに生きる我々に問いかけたりしている。 「その後、マットとその仲間たちはどうしていますか?」と。
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