サンティアゴ巡礼の歴史 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
2017年末の巡礼の旅路を想い出しながら読めた。 紹介されている各地域ごとの逸話、言い伝えは、支離滅裂で、聖書の詳細を多少なりとも知っていないと、ありがたみも感じにくいものだが、言い伝えや伝説というものは、得てしてそういうものであろう。 むしろ、故に、聖ヤコブの伝説がもてはやされ、サンティアゴ・デ・コンポステラが巡礼の地としての存在感を増していき、また伝説、言い伝えが集まり増殖していったということもあるだろう。 訳者あとがきにある、 「伝説が現実の歴史よりも説得力を持っていたことや、さらに新たな歴史を構築したことともしっかりと認めなくてはならない。サンティアゴの伝説の場合はこれに当てはまるであろう。」 伝説も、聖地も、布教の必要性が生まれ、巡礼地としての価値も、消極的な消去法 - エルサレムはハードルが高く、ローマでは容易すぎる ― によって生まれたものだということも、十分理解しなくてはならない。 だからと言って、この巡礼路を辿り、サンティアゴ・デ・コンポステラに詣でることの意義を、少しも毀損するものでもない。 「標高2000m以上の山々が屹立するピレネー山脈、灼熱のスペイン大地、それに雨のガリシアなど、霊的救済と贖罪のための巡礼にとって何とも理想的というべき艱難辛苦の巡礼路」であることは間違いない。 救われるのは、信じる者に他ならない。
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