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消えたヤルタ密約緊急電 の商品レビュー

4.2

8件のお客様レビュー

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2022/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「消えたヤルタ密約緊急電」 〜情報士官・小野寺信の孤独な戦い〜 岡部伸 ヤルタ密約というのは歴史の教科書にも記載のあるヤルタ会談でアジアに関する戦後処理を下記の内容を3人で非公開で合意したものである。(一部抜粋) ドイツ降伏後3ヶ月以内に日本に参戦する 樺太南部及び隣接島嶼をソビエトに返還 千島列島をソビエトに譲渡 アメリカ:ルーズベルト イギリス:チャーチル ソビエト連邦:スターリン 当時、日本は和平交渉を不可侵条約を結んでいるソ連に仲介してもらうことで政府は考えていた。 参戦する予定のソ連に楽観的希望が強くなっている時に上記密約情報を入手し、日本に打電した情報士官小野寺信陸軍少将の電報が公文書等に残っていなく、闇に葬られた。 国家戦略に関する重大な情報を得ながらも不都合な真実は封殺され、活かされなかった。 著者は同様の日本官僚型組織は現在も多いと指摘する。 消えた電報を他国の公文書(イギリス、アメリカなど情報公開されたものには当時、日本の暗号解読された電報などの記録もある。) を著者が読み解く。 インテリジェンスの必要性の再認識と諜報の神様と言われた小野寺信氏について、とても興味深く面白い本でした。 ちなみにロシア語で「ツシマ」という言葉があり意味は「格下の相手に不覚をとる」

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2020/09/16

戦後日本を振り返ると瀬島龍三はキーマンの一人であると考える。瀬島は戦前の超エリートで陸軍中枢にいた。大東亜戦争はエリートが判断を誤ったところに大きな敗因があった。終戦後はシベリアに抑留されソ連に洗脳を施された。帰国後、堀栄三に謝罪したのはまだ良心の炎が辛うじて消えていなかったのだ...

戦後日本を振り返ると瀬島龍三はキーマンの一人であると考える。瀬島は戦前の超エリートで陸軍中枢にいた。大東亜戦争はエリートが判断を誤ったところに大きな敗因があった。終戦後はシベリアに抑留されソ連に洗脳を施された。帰国後、堀栄三に謝罪したのはまだ良心の炎が辛うじて消えていなかったのだろう。彼の転向・二枚舌・無責任・経済的成功が日本の姿とピッタリと重なる。 https://sessendo.blogspot.com/2020/08/blog-post_69.html

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2018/05/11

2012年刊。 著者は産経新聞編集委員。  第二次世界大戦の日本の戦争指導につき、一部の単発・例外事象を除き、情報保秘と活用に決定的問題のあったことは従前言い尽くされ、本書もこれを追認している。  ただし、本書はその中で特異な存在であった人物である武官小野寺信について、従来から...

2012年刊。 著者は産経新聞編集委員。  第二次世界大戦の日本の戦争指導につき、一部の単発・例外事象を除き、情報保秘と活用に決定的問題のあったことは従前言い尽くされ、本書もこれを追認している。  ただし、本書はその中で特異な存在であった人物である武官小野寺信について、従来からの資料に加え、新規に公開されてきた英国秘密文書を新基軸に、エストニア、スウェーデンから的確な情報を送信し続けた人物の足跡を辿っていく。  エストニアでの杉原千畝との邂逅、ポーランド情報担当者に貫いた誠、高いインテリジェンス能力は驚異的ではある。  この点、ソ連対日参戦決定のヤルタ密約だけでなく、独ソ戦開始、独軍戦況不利、それゆえの対米参戦回避打診、緒戦から終結模索打診、P宣言受諾直前の天皇制保持容認の方向性など、小野寺提供情報は実に特筆すべきであることは論を待たないだろう。  とはいえ、些か穿った書き方になるが、「誠」とはいえ、小野寺も、多聞に洩れず、多額の資金・機密費を投入しており、貧者の誠、紐付きのない誠、というわけではない。  また、そもそも小野寺が的確な情報提供者だから、他の情報担当者との繋がりが出来た面もあろう。  これらは、ある意味当然のことだが、彼方此方の叙述から偏りが見られる著者の小野寺贔屓を一歩引いて観察すべきことを示唆すると言えようか。  もとより、クロスリファレンスや他書への目配せもきっちりした本書は、内容十分の重厚な書と言ってよいだろう。  ところで、本書は日本の参謀本部戦争指導班へのコミンテルンの浸透につき興味深い仮説を提示する。  そこから見えてくるのは、班員だった瀬島龍三はもちろん、戦争指導班長種村佐孝大佐は要注目すべき人物という点。  本書で触れられるものとして、戦後、種村は本当に日本共産党に入党したか?という疑問。  さらに本書はいう。戦況不利の中、日本の軍人指導部らは顕著な英米嫌悪、ソ連擦り寄りの心性であると。ただそれが中立条約締結相手国だからか、他の要素は本当になかったのか?、と。  本書からは こういう疑問も湧くが、そういう疑問を惹起させるところも本書の買いの部分といえそうだ。

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2016/10/06

この本からできたドラマ「百合子さんの絵本」を見ました。ドラマを見ての感想ですが、海外に送り出された閣下は情報を得ては、日本へ暗号化した手紙を出すが手紙は常々無視され敗戦し、原爆投下に至る。 もっと日本が情報に耳を傾けていればと悔やまれるし、そんなずさんな対応に耳を疑いたくなるよう...

この本からできたドラマ「百合子さんの絵本」を見ました。ドラマを見ての感想ですが、海外に送り出された閣下は情報を得ては、日本へ暗号化した手紙を出すが手紙は常々無視され敗戦し、原爆投下に至る。 もっと日本が情報に耳を傾けていればと悔やまれるし、そんなずさんな対応に耳を疑いたくなるような信じられない出来事でした。

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2013/10/08

第一章で終わってるやろ。周知の事実の羅列だけの水増し本だ。ボリュームの割りに価格が安い理由に納得❗️

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2013/10/04

[孤人奮闘]「ドイツの敗戦から3ヶ月後、ソ連は日本に対して攻め入って来る」。日本が敗戦まで把握していなかったとされるそのヤルタの密約を、欧州に張り巡らせた情報の網から入手し、日本に打電していた男がいた。しかし、その電報が届いたという記録は残っておらず、結果として日本はソ連の対日参...

[孤人奮闘]「ドイツの敗戦から3ヶ月後、ソ連は日本に対して攻め入って来る」。日本が敗戦まで把握していなかったとされるそのヤルタの密約を、欧州に張り巡らせた情報の網から入手し、日本に打電していた男がいた。しかし、その電報が届いたという記録は残っておらず、結果として日本はソ連の対日参戦を許してしまう......。インテリジェンスの世界で「神様」と呼ばれた小野寺信という知られざる人物と第二次世界大戦中の諜報の内幕を描ききった衝撃のスクープ作です。著者は、北方領土返還交渉などの取材も務められた岡部伸。 「ここまでよく調べたな......」というのが正直な印象。岡部氏が綴らなければ歴史の彼方に消えてしまったであろう、小野寺と東欧諸国の密なつながりなどは、読みながらスゴいスゴいと体温が上がっていく感覚を覚えてしまいました。公開情報を湛然につなぎあわせていきながら、情報の網をたぐりよせていく様子は一級のミステリーを読んでいるよう。手に取った瞬間はその分厚さに驚いてしまうかもしれませんが、それに見合った、いや、それ以上の濃い内容であることを保証します。 小野寺の情報に対する繊細さと打って変わって、日本中枢の情報に対する無頓着ぶりは眼に余るものがありました。「こうあってほしい」という願望に合致するように情報を取捨選択してしまう様子や、作戦が事実に基づかずにくみ上げられていってしまう様子は、怖さをとおりこして諦念すら覚えてしまいました。外交における情報の重要性が声高に叫ばれる今だからこそ、ぜひ手に取っていただきたい作品です。 〜自前の情報を持つことこそがインテリジェンスの大原則なのである。〜 著者の執念に拍手☆5つ

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2013/02/11

第二次大戦中にスウェーデンで欧州情報を担当した今で言うインテリジェンスオフィサーの陸軍の小野寺信少将の記録である。杉原千畝を配下にしていた人だ。ソ連の対日参戦という極秘情報を入手打電したのに大本営で握り潰されたのを本人が知ったのは、なんと1983年だそうだ。筆者は、その後に公開さ...

第二次大戦中にスウェーデンで欧州情報を担当した今で言うインテリジェンスオフィサーの陸軍の小野寺信少将の記録である。杉原千畝を配下にしていた人だ。ソ連の対日参戦という極秘情報を入手打電したのに大本営で握り潰されたのを本人が知ったのは、なんと1983年だそうだ。筆者は、その後に公開された米英資料や、本人の家族に語った証言テープなどを渉猟し、どのように戦時下の異国で情報入手ルートを作り上げたかを克明に記している。本書の出だしはクドイ部分もあったが、しだいに筆ものってきてグイグイ引き込まれた。当時の日本に第一級のインテリジェンス能力があったのがよく分かる。でも、それを使いこなせないのは、変わらないのかもしれない。筆者は新聞記者だが、別の出版社が出したところにも、本書に対する熱い意欲が感じられる。力作である。

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2013/01/27

●:引用、他は感想 佐々木譲「ストックホルムの密使」ではじめて知り、終戦工作に関する書物では必ず目に入る名前。最近まであまり優秀なインテリジェントオフィサーとの印象は無かったが、今年の夏のNHKスペシャル”終戦 なぜ早くきめられなかったのか」を見て、俄然気になっていた。 題名...

●:引用、他は感想 佐々木譲「ストックホルムの密使」ではじめて知り、終戦工作に関する書物では必ず目に入る名前。最近まであまり優秀なインテリジェントオフィサーとの印象は無かったが、今年の夏のNHKスペシャル”終戦 なぜ早くきめられなかったのか」を見て、俄然気になっていた。 題名にある「消えたヤルタ密約緊急電」をはじめとする、小野寺信在ストックホルム陸軍武官の諜報活動を、複数の資料を駆使して多角的に捉え、疑問点や矛盾点を解き明かそうとしている。しかし、同じ事柄に対する各資料の記述がほぼ同じ場合でも、そのまま重複し記述いるため、なかなか先に進まず、まどろっこしい。   読むと、根元博中将や杉原千畝について書かれた評伝を読んだ時と同じ印象。→著者の被評伝者に対する一種の尊敬、英雄崇拝的なものを感じてしまうと言ったらいいか。 ”P176 この時すでに日本のインテリジェンスは機能不全に陥っていたのである。日本型官僚組織に潜む病弊は根深い。” →P339 →戦前の日本のインテリジェンスを扱った本は対外この結論に落ち着く。間違いではないが。   ●対ソ工作を主導した種村が、大戦中からソ連共産党あるいはコミンテルンの影響を受けていたいう史料を筆者は持ち合わせていない。しかし、大戦時、日本よりはるかに国家の指導者に対する防諜・管理体制が整備されていたイギリスやドイツ、アメリカで、エリート層によるソ連を利するための「スパイ行為」があったことが近年判明しており、日本の権力中枢にもゾルゲ・尾崎工作に匹敵するソ連からの工作があったとしても不思議ではないだろう。→対米英戦争を継続するための親ソ容共。敵の敵は味方、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。シベリヤ抑留容認(日本人の棄民政策)などは、枢軸同盟崩壊後のどさくさの中のヤケクソ的なものと思っていたが、それ以前から冷静に考えられていたとは。コミンテルンの参本浸透説。陰謀論とは思えなくなる。

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