激しい大気現象 の商品レビュー

新田尚【著】

2018/10/14

台風、集中豪雨、竜巻、マイクロバーストなど、総観スケールからメソスケール以下までの幅広いサイズにわたる激烈な大気現象のメカニズムについて総覧的にわかりやすく解説している。
数式を使わない説明なので専門書というわけではないが、内容はかなり専門的知見にわたっていると思う。普通の気象好きの人向けというよりは、気象予報士試験の合格を目指す人が、最近のトピックスを踏まえるための副読本として用いるのに適している。

気象が我々の生活へ及ぼす影響も様々である。向う3カ月の気温や降水量、明日の天気や台風進路、竜巻や落雷の発生可能性、突風や飛行機離着陸に影響するバーストなど、空間・時間的スケールは大きく広がっている。それらを統一的に扱う物理モデルはまだ無いが、アメダス、レーダーなどの観測システムと、数学モデルを演算するシステムと、予報の任にあたる人の職人的センスの融合によって、日々の気象・防災予報がなされていることがよくわかる。