1,800円以上の注文で送料無料

無声映画のシーン の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2012/11/16

少年が小さなスペインの炭鉱の町で過ごした12年間のエピソードが、撮影された写真をもとにひとつずつ語られてゆく物語。 訳者あとがきや、序文にも「これは自伝ではない」、「小説」であるということが強調されている。 一つ一つの写真にまつわるエピソードがピースとなりそれを並べていくことでふ...

少年が小さなスペインの炭鉱の町で過ごした12年間のエピソードが、撮影された写真をもとにひとつずつ語られてゆく物語。 訳者あとがきや、序文にも「これは自伝ではない」、「小説」であるということが強調されている。 一つ一つの写真にまつわるエピソードがピースとなりそれを並べていくことでふんわりと立ちあがる蜃気楼のような映像、それがまさに「物語」であることよなあ。

Posted byブクログ

2012/10/31

写真というのはずるいな、と思う。ずるくて残酷だ。 写っている本人が死んでも、写真はずーっと残り続ける。残った写真の中に、決して戻らない時間の断片が留まり、それは戻らないが故に人を切なくさせ、苦しめる。

Posted byブクログ

2012/10/14

母親が残した30枚の写真を眺めながら、それぞれに写された幼いころの自分と当時の暮らしに思いを馳せる主人公。一章が一枚の写真の回想録という形式を取った連作短編集であり、各章に具体的な連続性はあまりないものの、回想の断片を繋いでいくことで、主人公の少年時代が紡ぎだされていく。 訳者...

母親が残した30枚の写真を眺めながら、それぞれに写された幼いころの自分と当時の暮らしに思いを馳せる主人公。一章が一枚の写真の回想録という形式を取った連作短編集であり、各章に具体的な連続性はあまりないものの、回想の断片を繋いでいくことで、主人公の少年時代が紡ぎだされていく。 訳者あとがきによれば、著者が実際に幼年期を過ごした鉱山が閉鎖されてしまうことになり、その思い出の街を何とかしてまた小説の中に蘇らせたい、という強い思いで本作を書いたそうだ。多分に自伝的要素を多く含むのはそのためらしい。 著者の選択したその手法は、回想する主人公(著者にも思えるが、あくまでも「小説」ということなので、ここでは主人公ということでいいだろう)の姿と、遠い昔に切りとられたある一瞬の世界とを見事に繋ぎ、過去と現在との時間差を埋め、主人公の郷愁を強く感じさせてくれる。 詩的で静かな語り口ではあるが、激動の時代を生きた少年の姿が断片の中から見事に浮かび上がり、まさに巧みであるとしか言いようがない。 木村氏の翻訳も、相変わらず作品の雰囲気を損なわず読みやすくさすが。

Posted byブクログ

2012/09/05

小説かエッセイか、エッセイのように書かれた小説と言えばよいのだろうか。どちらでもいい。少年の目にうつった鉱山の町での日々を、写真から語っていく。静かな語り口にどんどん引き込まれていって、自分の目の前にモノクロの世界が広がっていくような気がした。http://www.cafeble...

小説かエッセイか、エッセイのように書かれた小説と言えばよいのだろうか。どちらでもいい。少年の目にうつった鉱山の町での日々を、写真から語っていく。静かな語り口にどんどん引き込まれていって、自分の目の前にモノクロの世界が広がっていくような気がした。http://www.cafebleu.net/blog/archives/2012/09/post-310.html

Posted byブクログ